お得な周遊電子パス「金谷ダイヤモンドパス」を使って、鋸山登山から金谷港の周辺観光まで楽しめる日帰り旅をしてきました。
今回は、金谷港出発で、鋸山登山の見どころをご紹介します。
fa-arrow-circle-o-down「その1 久里浜~金谷港編」「その3 金谷港周辺散策編」「その4 食事・ショッピング編」はこちら
fa-arrow-circle-o-down「その5 恋人の聖地・石のまち金谷編」は鋭意作成中!
鋸山登山の概要
今回は、あえて地獄のぞきではなく、鋸山を下から堪能する登山ルートをたどります
1-1 鋸山登山マップ
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<分岐記号の意味>
A:分岐点(車力道コースと関東ふれあいの道コースの分岐 Fork
B:車力道コース分岐 Shariki-michi Trail Fork
C:日本寺北門分岐 Nihonji temple North gate Fork
D:岩舞台分岐 Iwa-Butai(Depleted Quarry Stone Stage) Fork
E:切通し跡分岐 The summit of Mt. Nokogiriyama Fork
F:東京湾を望む展望台分岐 Observation Deck for Tokyo-bay Fork
G:鋸山山頂 The summit of Mt. Nokogiriyama
<主な見どころ>
①索道跡 Sakudo
②車力道跡 Shariki-michi trail
③石のストックヤード跡 Stone stockyard
④猫丁場 Depleted Quarry: Neko-choba(Cat Choba)
⑤吹抜洞窟 Fukinuke Cave
⑥切通し跡 Kiridoshi
⑦観音洞窟 Depleted Quarry: Kannon Cave
⑧岩舞台 Iwa-Butai(Depleted Quarry Stone Stage)
⑨樋道跡 Toi Michi(stone slope)
⑩ラピュタの壁 Depleted Quarry: Wall of Laputa
⑪地獄のぞき Depleted Quarry: Jigokunozoki
1-2 鋸山登山推奨ルート
推奨されるルートは3つ
【A】 ⇒ 【C】 ⇒ 日本寺北口 ⇒ ロープウェー山頂駅 ⇒下山
・体力:★
・難易度:★
【A】 ⇒ 【B】 ⇒ 【E】 ⇒ 【D】 ⇒ 【C】 ⇒ 日本寺北口 ⇒ ロープウェー山頂駅 ⇒下山
・体力:★★
・難易度:★★
【A】 ⇒ 【B】 ⇒ 【E】 ⇒ 【F】 ⇒ 【G】 ⇒ 【F】 ⇒ 【E】 ⇒ 【D】 ⇒ 【C】 ⇒ 【A】 ⇒ 下山
・体力:★★★
・難易度:★★
今回は、2022年のスタートを飾る初登山として難易度高めの「3.鋸山登山家コース」にチャレンジ!
でも一般的に日帰り旅であれば、鋸山の見どころをもれなく網羅できる「2.産業遺産コース」もおすすめ
<登山アドバイス>
- ちゃんとした登山用トレッキングシューズ推奨
┗ ゴム底に凹凸のあるものの方が滑りにくく、ハイカットの方が足首が固定されて疲れない - 手袋推奨
┗ 軍手でも登山用でも可。金属製階段の手すりは想像以上に冷えて手がしびれる。衛生的にも便利 - 登山用ステッキは膝や足が不安な方推奨
┗ 登りは少し荷物になるけど、下りに威力発揮、膝への負担が軽減 - レインウェアや防寒用パーカー持参
┗ 低山といえども山は山、天候急変への備えあって憂い無し - 雪道の場合、簡易アイゼン推奨
┗ 靴に装着するとより滑りにくくて安心(Amazonで1,000円前後で販売) - オフライン地図をダウンロード
┗ GoogleMap、Yamakei、YAMAPなどからオフラインマップ入手。GPSでマメに現在地捕捉すると道に迷いにくい
その他の登山の心得はこちらをチェック
鋸山登山と産業遺産めぐり
それでは「推奨コース:3」のルートで、順を追ってご紹介します
2-1 金谷港⇒【A】第1車力道分岐まで
金谷港から国道127号に出て、
川の手前で左折、住宅地の中を進んでいくと、右手にかわいらしい壁アートを発見
川に突き当たったら左折して、
目の前の富士見橋を渡る
橋を渡ると、左手に鋸山観光案内所が
本ページ冒頭にある登山マップと同じものが掲示されてます
案内所はあいにく、朝早いため営業時間外
観光案内所を過ぎた十字路の角に「笹生(ささお)精肉店」
登山客を狙った自慢のコロッケを仕込み中で、食欲をそそる匂いがふんわり
タイミングが合えばここで腹ごしらえができますね
当店を左折して、あとは標識に従って真っ直ぐ進む
しばらく川沿いに歩いていくとY字路でこの標識にぶつかる
「車力道」「観月台」方面へ右折
ちなみに、「沢コース」方面(左)に行ってしまうと、鬱蒼と生い茂る林に差し掛かり倒木で行き止まり(←つまり、経験者)
大幅なタイムロスになるので左側に行かないように……(汗)
第一の分岐点から高架下をくぐり、100mも歩くと第2の分岐点【A】の三叉路に到着
左を行くと「車力道コース」
真ん中の階段を登ると「関東ふれあいの道コース」
右は不明(たぶん民家)
今回は「車力道コース」へ向かいます
2-2 【A】第1車力道分岐 ⇒ 【B】第2車力道分岐まで
民家がポツポツ少なくなってきます
それでもまだ舗装された道だから歩きやすい
訪れた当日は関東に大雪が降り、都民の方々がツルツルスッテンしていた翌々日だったので、道の脇には積雪が溶けずに残ってました
5分も歩いたら、次の分岐点【B】に到着
右手にはトンネル
左手の「車力道」方面へ進みます
標識があるのでわかりやすい
2-3 【B】第2車力道分岐 ⇒ 【E】切通し跡分岐まで
いよいよ本格的に山に入っていきます
道は未舗装になってきて、思った以上に残雪が多く歩きにくくなってきました
「ちょっ、、、マジ?!」
と一瞬ひるむほどの、ガッツリ積雪
これは想定外
完全に雪をなめていました
トレッキングシューズだけは辛うじて履いていたものの、場違いな服装(普通のダウンコート着用)
しかも、雪のせいで道が埋まり、踏み跡で辛うじてわかる程度…
とりあえず、行けるところまで行こうと開き直って登山続行
【B】の分岐から約20分後
②の「車力道跡」(画像左)と③の「石のストックヤード跡」(画像右)に到着
「車力道」とは、鋸山から切り出された「房州石(ぼうしゅういし)」を山の麓まで運びおろした道。石を運ぶ人たちを「車力(しゃりき)」と呼んでいたことからこの名が付きました
1本80kgの房州石3本を荷車に乗せて、この坂道を下っていったそうです
それが主に女性の仕事だったというから衝撃
鋸南町・富津の女性はどんだけたくましく、力持ちだったのか…
5分もしたら④の「猫丁場」の分岐に差し掛かります
坂を登るのは面倒ですが、せっかくなので立ち寄ってみます
分岐からほんの100m程度、歩いて2分で「猫丁場」にあっけなく到着
「猫丁場」という石切り場には、その名前の由来となったかわいい猫ちゃんがいます
これがその、壁に掘られた赤い首輪と手毬の猫
ここは2021年7月に一般公開されたばかりの新スポット!
ちなみに、山の中で何で"猫"?というと、おそらく房州石の運搬に利用した荷車を「ねこ車」と呼んだことに由来しているのでは、と思います(説明板がなかったので真偽は不明)
ここでかつて車力の女性たちが仕事道具の荷車を担いで待機していたのかもですね
ちなみに、猫丁場の奥には、鴨川市出身のアーティスト・空間開発研究所 飯田善郎ベンヤミン氏によるハート型の新たな見どころも作られています
ぜひ覗いてみてくださいね
2-4 【E】切通し跡分岐 ⇒ 【F】展望台分岐まで
猫丁場から分岐まで引き返して「登山道・車力道」方面を登ります
7分ほどで【E】の分岐点、⑥「切通し跡」に到着
「切通し跡」とは、石切り場から切り出した房州石や石のクズ(ズリという)を運ぶために人工的に切り拓かれた搬出道のこと
石を切り出したノミ?の跡と苔むした感じが何とも絵になる光景
切通し跡を抜けた先にある石切り場も、なんかかっこいい
さらにその先、分岐の石切り場から3分ほど登ったところにある、⑤「吹抜け洞窟」
ここもまた古代廃墟か神殿跡みたいで、実にかっこいい
ただし、崩落の危険があるので中に入るのは厳禁
結局、ここまできたら登らないわけにはいかん、ということで鋸山を制することを決意
すると、この吹抜け洞窟を過ぎた辺りから階段が急になってきました
写真で見るより、実際はもっと勾配きついです
段差も高い
しかも階段は雪が踏み固められていてツルッツル
滑りやすくてかなり危険
登りはいいけど、下りがヤバそうです
(できる限り、登りながら踏み固められた氷を崩して登りましたが…)
吹抜け洞窟からおよそ7分ほどで分岐点【F】「東京湾を望む展望台」に到着
ここから眺める東京湾と富士山が絶景らしいので期待に胸膨らみます
2-5 【F】展望台分岐 ⇒ 【G】鋸山山頂まで
【F】の分岐からおよそ2分程度で展望台に到着
空が開けたところに、小さな展望台が設置されています
目の前は東京湾の大海原が広がり、眺望はすこぶる上々
が、しかし、朝から立ち込めていたガスが晴れず、富士山のご尊顔を拝めないまま終了(泣)
まぁでも、なかなかの絶景の眺望
ベンチもあるので、ここでランチタイムは気持ちよさそうです
とはいえ、本日は先を急ぐのでひとまず鋸山山頂を目指します
そういえば、こんな貼り紙がありました
「鋸山振興プロジェクト 目標達成!」
3年前の令和元年(2019年)7月、各地を襲った台風豪雨
この地域ももれなく全ての登山道で倒木や土砂崩れなどの壊滅的被害を受けたそうです
地元有志やボランティアらによる懸命な復旧活動を行う中、それらをサポートすべくクラウドファンディングを実施
目標額を大きく上回る寄付が達成できたそうです
そうしたさまざまな方々の努力の賜物の上に成り立っているこの登山
もう感謝しかないですねぇ
この分岐から一旦急な階段を下ります
ここで階段で滑って3~4段、豪快に落ちました(ハズい)
ホント、凍った階段は一瞬の油断もなりません(辛うじてカメラは無事)
階段を下りきったら、あとは割と起伏がなだらかな山道を進みます
途中、電波塔のようなものが立っていました
この地点で、分岐からおよそ10分経過
こんなはずじゃなかった、完全に雪山トレッキング
場違いな格好で山に登るのははじめてです
雪道を下ったり登ったりを繰り返し、分岐からおよそ15分で山頂に到着
2022年、初の登山「房州低名山 鋸山」を無事制しました
房総の山々を一望できます
ちなみに鋸山の標高は329.5m、千葉県で12番目の高さで、
垂直に切り立った岸壁が露出し、ギザギザの山稜が「のこぎり」の歯のように見えることからこの名がついたそうです
2-6 【G】鋸山山頂 ⇒ 【E】切通跡分岐 ⇒ 【D】岩舞台分岐まで
さて、今来た道を引き返します
ちなみに、「林道口」方面へ進むと、おそらく行きで間違えた「沢コース」につながるのではと思います
そこはまだ完全に復旧してないようなので危険
行きは良い良い帰りは怖い…
ちょっと油断するとツルッと行くので、慎重に慎重に歩を進めます
通常は下りの方がサクサク早いのですが、このときばかりは登りの1.5倍は時間かかります
切通し跡の分岐まで戻ってきました
「石切り場・岩舞台」の方角(斜め下)に進みます
道を一瞬見失ったと思ったら、切通し跡の中間に設置された木製の階段がルートでした
(これも産業遺構だと思ってた)
雪に埋もれて非常にルートが分かりにくい
踏み跡を見極め、人の気配にアンテナ張って慎重に進みます
山頂からおよそ25分後
次の見どころ⑦「石切り場(観音洞窟)」に到着
鋸山の地質は褶曲(しゅうきょく)構造、いわゆる歪んだ地質構造なので、良質な石を求めてタテにヨコに掘り進めた結果がこの石切り場で、階段状の掘り残しは崩落防止のためだそう
古代神殿か要塞かという佇まい、ちょっと日本離れしててかっこいいですねぇ
ちなみに、「観音洞窟」の由来となった、壁に彫られた「小さな観音様」は発見できませんでした……果たしてどこにあったのか…
2-7 【D】岩舞台分岐 ⇒ 【C】関東ふれあいの道分岐まで
観音洞窟から5分ほどで、⑧「石切り場(岩舞台)」につながる【D】分岐点に差し掛かります
分岐から2分ほどで岩舞台に到着!
これまでの石切り場と異なり、文字通り、舞台のように開けた場所です
「鋸山」の由来に違わず、てっぺんがギザギザしてますね
現在は、音が反響する石の性質と地形を生かしてコンサートなど音楽イベントで使われることもあるようです
なかなかユニークな再利用方法ですね
石の壁には、目立つ大きさで「安全第一」と「芳家石店」の文字が刻まれています
これは、昭和60年頃(1985年頃)まで続いた最後の石材の元締め「芳家石店(鈴木四郎右衞門家)」が刻んだもの
ちなみに、「安全第一」の文字の上までがツルハシの手作業による石切跡で、文字から下がチェーンソーによる石切跡だそうです
歴史が刻まれてますねぇ
岩舞台には採石に使われた産業遺構が青空展示(野ざらし状態)
だからといって乗っかったり、蹴ったり、触ってはいけません
この鉄さびまみれの廃れた機械と真っ白な雪とのコントラストが思いがけずいい画ですね
雪山トレッキング続けた甲斐がありました
岩舞台の上段の広場から眺めた全景
結構広い
岩舞台から来た道を戻ると、下から、かの有名な「地獄のぞき」が見えました
標高は329mですが、地上からの高さはおよそ100m
ちなみに上からの「地獄のぞき」の光景はこちら
崖からせり出した「地獄のぞき」はたしかにスリリング!
ぜひ両方体験して欲しいところ
2-8 【C】関東ふれあいの道分岐 ⇒ 【A】分岐に合流
今回は、日本寺北門はスルーして、JR浜金谷駅(下山)コースへ進みます
ちなみに、この階段を登っていくと日本寺北門へ接続します
鋸山の美味しいとこ取りするなら、ここから日本寺北門を目指し、上から「地獄のぞき」や日本一の磨崖仏、百尺観音などを見物して、ロープウェー山頂駅から下山するコースがおすすめ
草木が生い茂っていてわかりづらかったですが、これが⑩「ラピュタの壁」
最大垂直96mもの巨大な石の柱がそそり立ち、その壮大な景観とたたずまいが「天空の城ラピュタ」を連想させて、いつしか「ラピュタの壁」と呼ばれるようになったそうです
なるほど~
ラピュタの壁から5分ほど下ると見えてくるのが⑨「樋道(といみち)跡」
山から切り出した石はこの石の坂(樋道)を滑らせて山腹に運んだそうです
「観月台」方面へ進みます
「関東ふれあいの道」というぐらいなので、歩きやすい舗装された道なのかと思いきや、全然そうでもなかった
ふれあうにはちょっと狭くて細くて、微妙に歩きづらい構造で、特に踏み固められた雪道は滑って怖い
そうこうしている間に、およそ7分程度で海抜150mの地点に到着
「金谷港」方面に下りましょう
関東ふれあいの道コースにはお手洗いがありました
ありがたいですね
ようやく「観月台」に到着!
ここから三浦半島および富士山を眺望できるハズでしたが…やはりガス状態は消えず
無念
観月台から先は、整備された階段をひたすら降りていくだけでした
これで最初の分岐点【A】に合流、金谷港へ引き返します
今回の登山の所要時間はおよそ4時間弱
標準タイムは150分(2時間半)なので、それに比べるとだいぶオーバーしてますが、最初の道間違えによる20分のタイムロス、雪道の下山にかけた時間、各所撮影にかけた時間を考慮すると、まぁ、こんなもんですね
次は金谷港に戻って海鮮ランチと、「金谷ダイヤモンドパス」を使って金谷港周辺を散策します
つづく
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