(公開日2017/05/31 )

シベリアの奇跡!バイカル湖が魅せる氷のスーパーイリュージョン
そんなバイカル湖で繰り広げられる極寒の地ならではの冬の風物詩、氷が織りなす奇跡のスーパーイリュージョンについてご紹介します。

これがバイカル湖の「御神渡り」!
こんにちは、Compathy MagazineライターのMayumiです。
桜の季節も終わり、暑さがしのび寄る今日この頃。
そうした中で、ほんの束の間、涼を感じてもらうために、今回は氷にまつわるシベリアの神秘、この世のものとは思えない氷のイリュージョンについてご紹介します。
目次 Contents
バイカル湖とは

シベリアの真珠「バイカル湖」Photo Credit by Yuri Samoilov via flikr cc
ロシア南東部シベリア地区、イルクーツク州、東京~青森間がすっぽりおさまるサイズの巨大な三日月湖の「バイカル湖」は、「世界最古」「世界最深度」「世界最高峰の透明度」という三大世界一の称号をもつ世界的にスゴイ湖です。
2,500万年前、大規模な地殻変動により誕生し、最も深い地点ではもはや深海並みの約1.7㎞、その大きさはアジア最大、そして淡水湖としては世界一を誇ります。また、その透明度は、日本屈指の透明度を誇る摩周湖を抜くとも言われています。
その美しさから、“シベリアの真珠”と謳われたバイカル湖は、“シベリアのガラパゴス”と称されるほどの生物多様性とともにその希少性、そして他に類を見ない特異な自然現象などから1996年、世界遺産にも登録されています。
年に一度、バイカル湖が魅せる奇跡のスーパーイリュージョン

諏訪湖ではこの「御神渡り」は神様が歩いた足跡だとしています
12月下旬から6月初旬ぐらいまで、つまり一年のほぼ半分が凍っているバイカル湖。
厳冬期の気温は氷点下30℃にも達し、氷厚は軽く1m超えるともいわれています。
分厚い氷に覆われた湖は15tトラックや装甲車が走行しても割れないほど頑丈で、この時期だけは湖上に生活道路が誕生します。
そうしてこの時期だけ、バイカル湖ならではの超自然的スーパーイリュージョン「御神渡り(おみわたり)」が発生するのです。
“御神渡り(おみわたり)”とは

氷が割ける!春の訪れの風物詩「御神渡り」
「御神渡り(おみわたり)」とは、日本のみで使われている言葉。
つまり、日中と夜間の気温差による氷の収縮と膨張の連鎖で生じた“氷の亀裂の鞍状隆起現象”を意味し、日本では長野県の諏訪湖のケースが有名です。諏訪湖では諏訪大社の信仰と神話に密接に結びつき、伝統神事としても毎年注目されています。
しかし、この「御神渡り」の発生要因は未だ謎が多く、少なくとも氷点下10度以上の低温を保ち、かつ全面結氷日が継続、さらにある程度の氷厚を維持しなければいけない、などのさまざまな要件が必要とされています。
近年では地球温暖化などの影響で、諏訪湖をはじめ、各地で目撃されていた大小の「御神渡り」現象の出現機会が減り、こうした意味では、毎年安定的に見ることができる極寒のバイカル湖は貴重な存在といえるかもしれません。
ベストシーズンはいつ?

スーパーブルーのバイカル湖の氷
このバイカル湖の「御神渡り」、実は厳冬期ならいつでも見られるというわけではありません。
上記のようなスーパーブルーの氷が見たいなら、例年2月末~3月初旬の10日~2週間前後がベストシーズン。このタイミングがもっとも「御神渡り」が活発で、降雪とのバランスが良いといわれています。

吸い込まれそうな氷の世界
凍れるバイカル湖の魅力は「御神渡り」イリュージョンだけにとどまらず、このドキドキするような氷の下の無数の亀裂、アイスバブル、岸壁に打ち上げられた波がそのまま凍結した氷波や氷柱のシャンデリアなど、バイカル湖ならではの冬の芸術が楽しめます。
おわりに
筆者が訪れた3月初旬は、氷点下20℃を下回る極寒の日々。
寒さが超苦手の筆者ですが、実際恐れていたほどの寒さではなく、もちろん極暖・ホッカイロ御用達の完全防寒でしたが、何とか過ごせる程度でした。止めていただいた民家の宿も床暖、暖房がよく効いて快適そのもの。
シベリアと聞くととてつもなく辺境で、想像を絶する寒さで観光どころではないのでは?!と思われがちですが、豪雪だけなら日本の方が数倍上。寒さは北海道並です。そう考えると敷居が低くなる気がしませんか。
4月も過ぎるとシベリアは解氷を迎え、春が訪れます。世界一の“シベリアの真珠”は、春夏も冬に匹敵するほど美しい絶景。ぜひ次の候補地はバイカル湖にしてみませんか?