旅行記概要
■ 訪問年月日:2010/09/19~2010/09/20
■ スポット名:サ・ウェーブ(THE WAVE)
■ 訪問国地域:米国、アリゾナ州 Arizona, USA

※文中の情報は2010年9月現在のものです

 

<THE WAVEの所在地>

 

001 THE WAVE(USA)

THE WAVEの玄関口「Paria Contact Station」

 

ここは米国ユタ州とアリゾナ州の州境、国道89号沿いにあるTHE WAVEの玄関口「Paria Contact Station」
いわゆる国立公園のレンジャーハウスです

一番の最寄りのまちは、アリゾナ州側にある、アンテロープ・キャニオンで有名なPage(ページ)
しかし、ユタとアリゾナは時差が一時間あるので、アリゾナ州側からアプローチする際には注意が必要です

というのも、
THE WAVEは誰でも入れるわけではなく、毎日限定20名の抽選制
その抽選がこの事務所にて毎朝9時きっかり開始されるため
9時までに必ずエントリーシートに記入して事務局へ提出しなければいけないのです
(1分でも遅れたら門前払い)

気合い入れ過ぎて開始1時間半前に到着したときはさすがに誰もいませんでしたが、
8時半頃になると、どこからともなく人が集まってきました

駐車場はそんなに広くないので(2010年当時)、気持ち、早めに着いておくことをオススメします

 

003 THE WAVE(USA)

一日一回だけの運命の抽選会

 

THE WAVEに入ることができる1日限定20名のうち、10人までは4ヶ月前のネット抽選で決定、残りの10人が現地での抽選となります

ちなみに、運良く抽選日に当選しても入場できるのは翌日のみ
パーミットは当選翌日1日のみ有効なのです

要するに、THE WAVEには最低でも2日はかかります
1発で当選する人は少ないので、日程には余裕を持つことが肝要

こんな何もない辺境の地に、
世界中からTHE WAVEのパーミットを求めて観光客が押し寄せます
なかなか異様な雰囲気です

このとき、隣に立っていたドイツから来ていた男性が、「3度訪れて一度も当たっていない」とぼやいていました

また、偶然居合わせた日本のテレビクルー(某冒険バラエティ番組のロケで吉本のお笑い芸人・ライセンスのお二人がいた)は数日間来てて全部ハズレ、今日がハズレたら翌日がラストチャンス、とおっしゃっていました

抽選の仕方は実にアナログで公平で、シンプル
福引というかビンゴゲーム仕様のガラガラポン

ここでは賄賂も権力も泣き落としも通じないので
泣いても笑っても一日一回きりのチャンスです

 

002 THE WAVE(USA)

エントリーシートに必要事項を記入

 

これがエントリーシート

エントリーの仕方が独特で、1グループ単位となっています

要するに、1人でも5人でも10人でも、カウントは1グループ
1グループに1つ、抽選番号が付与されます

当日抽選は10人枠しかないので、
万が一、10人のグループが当選してしまうと抽選会はそこで終了
あるいは、もし残り一枠で多人数のグループが当選してしまうと、グループ内で一名が代表して行くか、権利を放棄して再抽選となります

シンプルだけどきわめて残酷で、シビアなシステム

参加者はみな、そのたった一枠に貴重な時間とお金を費やしてはるばるここまで訪れているので、レンジャーハウスの会場内はただならぬ緊張感に包まれています

 

004 THE WAVE(USA)

連日の抽選結果が公表された貼り紙

 

ちなみに、レンジャーハウスの入口には、過去1ヶ月ほどの抽選結果が貼り出されています

たとえば、
9月13日は43名(当選確率23%)
9月14日は59名(17%)
9月15日は39名(27%)
9月16日は37名(27%)
9月17日は56名(18%)


なんとなく、参加者数には季節性や曜日などは関係ないようでした

9月2日、17名って、ハズレた7名は悲惨ですね

平均して、毎日40~60人前後のようです
要するに、3~5人に一人は当たる計算?当選確率高いようで高くない!

 

005 THE WAVE(USA)

秘密の地図とパーミットをゲット!!

 

抽選の結果、1日目は惨敗、すごすごと隣町のページへ退散
(その後、知り合った一人旅の日本人とグランドキャニオンの秘境・トロウィープに行った)

そして翌日、わずか2回目のチャレンジで奇跡的に権利をゲット!!

普段は感情があまり高ぶらない方ですが、
このときばかりは年甲斐もなく、ガッツポーズで一瞬、はしゃいでしまいました……(汗)
(一方、ずっと通い続けていたという日本のテレビクルーはラストチャンスも逃して撤退を余儀なくされていました…その模様は、数カ月後TVで見ました)

超優越感(^_^;)

抽選会後は、当たった人だけがその場に残り、
レンジャーから秘密の地図と注意事項の説明、そして緑のパーミット(許可証)が手渡されます

入場の際には、このパーミットを見える位置にぶら下げて歩きます
しかも、有効期限は記載の日付の当選翌日のみ、これを逃したら、苦労が水の泡…

ちなみに、“秘密の地図”は、ポイントとなる場所の画像と緯度経度のみが記されているだけで実際にはMAPではない
要するに、自分の持っているGPSに、指定された緯度経度を登録してはじめて地図が浮かび上がるというカラクリ

これが「秘密の地図」といわれるゆえんなんですね

THE WAVEまでの道のりには当然案内標識は一切ありません
ということで、このためにわたしは高いガーミン(GPS専用機器)を買ってきました!

 

006 THE WAVE(USA)

THE WAVEの入口

 

ページの町を朝6時に出発、
さらに国道89号から脇に入った細いオフロードをしばらく進むと、駐車場らしき開けたところに到着

ちなみに、かなりの凹凸激しいラフロードなので四駆のレンタカーがマストです
(レンジャーから普通車は絶対パンクすると言われた)

入口には朝7時半に無事到着

駐車場には意外にも整備された簡易トイレが設置されており、トイレットペーパーまで几帳面に備え付けてありました

いよいよここから、片道6㎞の道なき道を冒険します

 

007 THE WAVE(USA)

冒険スタート!

 

遮るもののない灼熱の太陽の下で、ひたすら荒野を歩きます

乾燥した大地でのトレッキングには1ガロン(約3.8L) の水が最低必要といわれ、常に脱水症状に気をつけなければなりません

もちろん、携帯の電波はつながらないし(当時はGoogleMapのGPSとオフラインマップが無かった)、救助隊も呼べないので自己管理が重要です

どこをどうさまよい歩いているか、おぼつかないまま、前を進みます
とにかくGPSだけが頼みの綱

 

008 THE WAVE(USA)

先駆者が残していった目印のケルン

 

これは、先駆者が残していってくれたありがたい道標の石積み・ケルン

しかしながら、周囲の景色と同化してなかなか気づけないという致命的欠陥

とはいえ、重要な道標なので必死に目を凝らしてケルンを探します

 

009 THE WAVE(USA)

荒野で路に迷う

 

頼みの綱と思っていた私のガーミンが誤ったルートを指していると突如判明
なんと、こんな炎天下で道に迷ってしまいました

日本で買ったばかりで、このときがはじめての実用な上、操作方法が英語版だったので、使い方を間違えたようです

途方に暮れて立ち尽くしていたとき、後方から救いの手が!

まさに神が遣わした天使で、オーストラリア人のカップルと遭遇
幸運にも、彼らの後ろをついて行かせてもらえました

命拾いしました…
自分の悪運の強さに感動

 

010 THE WAVE(USA)

いよいよ、ミルフィーユ状の景色登場

 

しばらく歩くと、ミルフィーユ状の景色が眼前に

いよいよか!?と一瞬期待に胸高鳴るも、実はフェイク
まだまだ先は長かった、なんたって片道6kmだもんなぁ

この景色では、まだルートの半分程度
想像以上に起伏が激しく、また変わり映えしない景色で、ひたすら忍耐が続きます

 

011 THE WAVE(USA)

マーブル状のカッパドキアの奇岩地帯みたい

 

周囲の岩山がだんだんマーブル模様になってきました!

やがてキノコ岩登場
マーブル模様のカッパドキアみたいです

 

012 THE WAVE(USA)

ポイントの枯れ木発見!

 

秘密の地図と先人の記録にあった、目印の枯れ木を発見!

ゴールまであともう少しです

 

013 THE WAVE(USA)

いよいよクライマックス!

 

ゴールまでいよいよ目前!というところで、入口前に広がる砂丘に阻まれます

ヘトヘトに疲れて重たくなった足には罰ゲームか拷問のよう……

一歩進んでも2歩下がる…苦行の極み

思わず、富士登山の須走口を思い出しました

最後まで一筋縄ではたどり着けない、それがTHE WAVE
気力を振り絞って登り切ります

 

014 THE WAVE(USA)

いよいよTHE WAEの入口!

 

砂丘を克服し、ようやく到着!

ここが 本物のTHE WAVEの入口です!

樹の年輪が捻じ曲げられたような、ミルフィーユ状の岩盤が現れました!

 

015 THE WAVE(USA)

うねるマーブル模様!

 

一見繊細に見える赤い流線形は、もちろん非常に固い岩盤です

とはいえ、乾燥しているため、極薄で繊細なミルフィーユ層はもろくパキッと割れやすいのも特徴

だからこそ、この景観が末永く守るために厳しい入場制限を課しているのです

 

016 THE WAVE(USA)

あの坂を超えれば…

 

いよいよ、この坂を越えたら、夢にまで見た、憧れの地へ到着です!

坂を登るとき、常に記憶によみがえるフレーズ

「あの坂を登れば、海が見える」

「海じゃないけど…」と自分で自分にツッコミながら、気力を振り絞って登ります

 

017 THE WAVE(USA)

キータ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 

キータ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

昔、いいちこのCMや世界ふしぎ発見で見た、あの光景です!

憧れの地が目の前に……思わず、立ちすくみました

ここまででおよそ2時間

だいぶ朝早く出たつもりでしたが、意外にもすでに先客が数組いました
当選した20人枠の人たちですね

 

018 THE WAVE(USA)

記念に一枚!

 

普段は自分を撮られるのは極端に嫌がるのですが、
さすがに記念に一枚撮ってもらいました

最高です!

 

019 THE WAVE(USA)

実は思ったよりも狭い!

 

誰にも真似できない、地球の生ける造形美……

筆舌に尽くしがたい息を呑む絶景ですが、

実際にこの地に降り立ってみて一言、

「あれ?こんなもの??」

それほど、THE WAVEは意外に小さいエリア

10~20分もあれば十分見て回れるほどの狭いエリアでした

 

020 THE WAVE(USA)

来てみないとわからないことって多い

 

このマーブル模様が奥行きがあるように錯覚させるのですが

意外に奥行きはないのです

ちょっとびっくりしました

やっぱり、百聞は一見にしかずですね

 

021 THE WAVE(USA)

この風景がすべて岩だとは信じがたい…

 

荒野に渦巻くビッグウェーブ

見えない力で空間が歪められたかのような、実に異次元な光景…

 

022 THE WAVE(USA)

撮影クルーがいた

 

何やら、海外の撮影クルーがおりました

 

023 THE WAVE(USA)

2003年に見つかったTHE WAVE

 

このTHE WAVEは、2003年、とある写真家が偶然発見した場所で
実は世に知られてからまだ10数年程度と、観光スポット的には歴史が浅い

それでも、ここにたどり着くまでの希少性と苦労が人々の好奇心を駆り立てて、今や誰もが知る秘境中の秘境となりました

 

024 THE WAVE(USA)

人が少なくていい感じ

 

原則的には1日に限定20名しか入れないエリアなので混みようがありません

パスは1日有効なのでいつ来ても良いのですが
さすがにキャンプはNGです

 

025 THE WAVE(USA)

Melody Archに行ってみたかった…

 

本当は、さらに上の方にMelody Archという岩の天然アーチがあったそうなのですが、
もはや疲労困憊だったので断念してしまいました

残念……

 

026 THE WAVE(USA)

内側から入口側を眺める

 

内側から入口を眺めたところ

当時、まだGoogle Earthなどもない時代(衛星写真はNASAで手に入れられたかもですが…)、偶然とはいえ、よくこんなところ見つけたよなぁと感心してしまいます

いや、感謝ですね

 

027 THE WAVE(USA)

名残惜しいが、戻ります

 

さて、名残惜しいですが、そろそろ退散です

さすがに帰りは、オーストラリア人カップルに感謝を告げて、行きの記録を頼りに自力で帰りました

 

028 THE WAVE(USA)

砂漠に咲くワイルドフラワー

 

帰りは、行きで使い物にならなかったガーミンの行きのトレース(足跡)をたどって戻ります

少し気持ちに余裕がでてきたのか、砂漠に咲く花にも目が向くようになってきました

こんな乾燥地帯に愛らしいワイルドフラワーです

 

029 THE WAVE(USA)

目印の枯れ木に到着

 

行きはヘトヘトだったので余裕がなかったですが

分岐の目印となった枯れ木の存在感、すごいですね

 

030 THE WAVE(USA)

結局迷って、最後は無事戻れました

 

帰り道、要所に置かれたケルンと自分が撮影した画像、
そして、やはり最後まであまり役に立たなかったガーミンの記録を基に総合的に判断しながら、それでも迷いつつ、3時間かけて駐車場へ戻りました

実にスリリングで、ハードで、しかし一生忘れられない経験をしました

「死ぬまでに一度は見たい絶景」に殿堂入りするほど、世界的人気が高まっているそうです
機会があれば、ぜひあの抽選会場を訪れてみてください!

 

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最後までご覧いただきありがとうございました。

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