第1回目の「米国ビザの申請【1】対象者まとめ」
第2回目の「米国ビザの申請【2】~オンライン申請」
第3回目の「米国ビザの申請【3】~ビザ申請料金と面接予約」
第4回目の「米国ビザの申請【4】~大使館・領事館での面接」
第5回目の「米国ビザの申請【5】~実録・米国内空港で別室送りされた件」←★今回ここ
イラン渡航を見据えて、ひと手間係る米国ビザを取得していったものの
結論として、別室送りは免れませんでした・泣
というわけで、
今回はイラン訪問後、米国国内の各都市の空港でことごとく“別室送り”に遭った顛末を実録でご紹介します
※なお、当方の経験談は2016年当時のものです
※入国審査に当たった審査官によっても判断が変わるようです。割と運次第です
※入国管理局での別室では撮影録画、スマホや電子機器類の操作は一切禁止。そのため、記憶を頼りに落書きでご紹介します
イミグレーションにて~入国審査から別室送りまで
1 まずは普通に入国審査

通常通り、入国目的(観光)、滞在日数、訪問先などを簡単に質問される
ここまでは、審査官のご機嫌も良く、比較的和やかな雰囲気
(審査官によってはそもそも終始無表情もいるが)
2パスポートからイランビザ発見で手が止まる

信さ官の顔から笑みが消え、みるみる険しい表情へ
不穏な空気が漂う
黒人審査官が無言になり、眉間にしわが寄る姿は相当圧があります
(イラン訪問後、初回米国入国)パスポートをパラパラとつぶさにチェック
(2回目以降米国訪問時)併せてパソコンで情報照合している様子
続けて、どこから来たのか、訪問先は、イランへは何しに行ってたんだとか
その場でいろいろ聞かれる(←空港ワンパターン)
3イミグレの脇に立たされる

別室送りが決定
審査官の目の届くイミグレ脇の壁に、かつて遅刻した生徒が罰として廊下に立たされるが如く、情けなく立たされる
そして得てして、迎え(別の国境警備局)の人はすぐには来ないため
非情にも、他のツーリストたちから好奇の目にさらされる
※空港が違うと立たされないで別室直行のケースもありました
4国境警備局のお迎えが来て別室へ

恰幅のいい女性の係官(とは限らないが)の迎えが来て
同様にイミグレで引っかかった人たちがまとめて連行される
“別室”はイミグレからすぐの場所にあったり
バゲッジクレームの近くだったりと空港によってさまざま
5別室にて長時間待機

まず基本的に、パスポートは迎えに来た人か、部屋の入口にて係の人に預ける
別室内には、おおむね5~10人弱(多いときは20人以上)
アジア系、ラテン系、イスラム系と、実に国際色豊かな顔ぶれが待機させられている
なお、部屋の中はスマホをはじめPC、iPadなどの電子機器類の取扱いは一切禁止(没収はされない)
もちろんスマホをちょっといじるだけでもNG
(監視カメラで監視されているので、見つかったら烈火のごとく激怒されました)
仕方ないので、自分の取り調べの番が来るまで紙媒体のガイドブックや資料等を読んで時間を潰す
係官から呼ばれるまで、早いときは20~30分、ひどいときは1時間以上も
とにかく異様に重たい空気で、何もしてないのに、犯罪者のような気分になります
6いよいよ職務質問、そして解放

いよいよ呼ばれて、指定のデスクへ
係官とのマンツーマンでの職務質問がはじまります
不幸中の幸いで、
わたしの場合はたまたま物腰柔らかい審査官に当たることが多く
(それか日本人とわかって柔和な態度になるのかは不明)
他の人ほど厳しい口調で詰問された記憶は少ないです
ただ、質問事項はとにかく細かい
係官は質問の答えを逐一パソコンに入力している
時に、荷物の中身が入念にチェックされることも
これで晴れて、米国ブラックリストデータベース入り(涙)
結局、職務質問までに待たされた時間が1時間以上
さらに職務質問にかかる時間も短くて20~30分、長いと1時間以上もかかり、
トータルで1時間~数時間は確実に拘束されます
職務質問を経て、めでたく疑いが晴れると
あっさり入国スタンプがパスポートに押され、別室から解放されます
わたしの場合は素直な受け答えが良かったのか、
係官の心象はそんなに悪くなかったようで、最後は笑って見送られることが多かったです
そこであるとき、ふと尋ねてみました
わたし:「もしかして、この(別室送りの)状況は一生続くのですか?」
係官:「そうだね、まぁ一生だね」
わたし:「・・・」
「イランに遊びに行っただけなのに」
こんなにも厄介事になるとは、イラン訪れたときは想像もつかず
実に甘く考えていました
(この経験がトラウマになり、以後7年間、米国の地は踏みませんでした)
別室送りまとめ
別室送りとは
米国の国家安全を脅かす恐れがあると疑われる経歴や背景を持つ人物を特定し、空港に配備された国境警備局(United States Customs and Border Protection)の権限のもと審査尋問にかけること
※あくまでも個人の勝手な定義です
別室送りのリスクは、アメリカ合衆国本土だけでなく、ハワイ、グアム、アラスカ、プエルトリコなど米国領の各諸島ももちろん含まれます(入国管理のデータベースが共有されているので)
別室送りのリスクが高い対象者
- イラン、イラク、シリア、イエメン、スーダン、リビア、ソマリア、北朝鮮、キューバへの渡航歴がある者
┗ パスポートにイラン等のビザ貼付かつ米国ビザ所持でもアウト
┗ パスポートにイラン等のビザ貼付かつESTAでの入国をはかったら即刻アウト、下手したら入国拒否および強制送還
┗ パスポートが更新されイラン等のビザが貼付されていなくても2011年以降米国および対象国への渡航歴があれば危険(データベースに記録されている可能性あり) - 米国に不法に移住・就労する恐れのある者(可能性を感じさせる情報を提示するとアウト)
┗ 「入国目的は“米国人の恋人に会う”」は一発アウトだそうです
┗ ESTA(90日滞在可能)を使って語学留学する人も危険
┗ ESTAを使って長期間での観光も就労疑われる危険性あり - 過去にパスポートの盗難に遭ったのち、盗まれたパスポートの番号のままESTAに申し込んだ者
┗ 異例ですが、盗難被害にあった人は申請時に気を付けましょう - (コロナ禍以降)日本人女性のひとり旅 ←NEW
┗ 身なりが派手めの女性(おしゃれ過ぎる人)
┗ 滞在スケジュールを具体的に答えられない人
┗ 「友人と会う」「友人宅に泊まる」「知り合いと合流する」など、米国(ハワイ等含む)に“相手”がいることを少しでも匂わせる回答をした人
ネットの情報を総合すると大枠はこんな感じです
別室送りからスムーズに解放されるための必要情報
万が一、別室送りになってしまった場合、一刻も早く解放されるため、
心当たりのある対象者は以下の回答を事前に用意しておくと少し安心です
(用意周到過ぎると余計に怪しまれる可能性も否定できないですが、備えあれば患いなしってことで)
【必要なもの】
- 米国出国(帰国含む)のチケット ←これは100%必要
┗ 別室内はスマホ、PC使用禁止のため、原則プリントアウトを提示(許可を得ればその場でスマホ画面を見せることも可能) - 2011年以降の対象国への渡航履歴、渡航内容
┗ 具体的な日時・滞在期間、訪問目的、訪問先、宿泊先、参加したツアー、一緒に行った人、現地で会った人物まで - 米国での滞在スケジュール、訪問先、連絡先、宿泊先情報
┗ 旅程のメモや、予約票などをプリントアウトしたもの - 自身の職業、職務経歴、職務内容
┗ 英語でしっかり説明できるように - 長期滞在する場合は財政証明できるもの
┗ 銀行口座の残高証明など(口座の画面コピーなど) - 米国在住の知人訪問の場合は知人の詳細情報
┗ 氏名、住所、連絡先、職業、勤め先、(学生なら在学情報)など - 持っていれば国際運転免許証と日本の運転免許証
┗ レンタカーを借りる場合は提示を求められる可能性あり
【必要なスキル】
- 審査官からの職務質問に耐えうる最低限の英会話スキル
┗ 日本語が分かる係官を常駐させている空港もたまにある(でもほとんど期待しない方がいい) - いかなる状況にも挙動不審にならない堂々とした振舞いと冷静な判断力
┗ 身に覚えがなくてもいざ怖そうな係官を目の前にするとビビります。おどおどした態度はマイナスイメージなので、毅然とした態度で - いかなる高圧的な態度にもひるまない強い胆力、精神力
┗ 審査官によっては挑発的で高圧的な態度の方もいるようです。「売り言葉に買い言葉」で血が昇ったり、逆に挙動になるのもマイナスイメージ
わたしも英語は堪能な方ではないですが、自分の置かれている状況を説明するための
最低限の英単語ぐらいは頭の中に仕込んでおきました
英語が苦手な方には面倒極まりないと思いますが
対象国を訪れ、かつ米国に立ち寄ると決めた時点で、腹をくくって準備した方が良さそうです
別室で受けた問答集一例
あくまでも、わたしが記憶しているものの一部ですが、
- イランへは何しに行ったのか
- イランに滞在した正確な日時、期間、場所、訪問先
- イランには知人がいるのか、知人に会ったのか
- 誰かに何か渡されたり預かったりしていないか
- 日本では何をしているのか(職業と職務内容、年収など具体的に)
- 長期休暇の理由(世界一周の理由)
- 日本での居住状況(住所、連絡先、同居人など)
- 何故米国に来たのか、訪問先、移動手段、滞在先など
- 米国には知人友人はいるのか、会う予定か
- イラン以外にはどこに行ったのか(世界一周しているという回答を受けて)
- 米国の後はどこに向かう予定か
- 日本にはいつ帰国する予定なのか
- 米国ビザを事前に取っているが何故イラン渡航者がESTAではなく米国ビザが必要だと知ったのか
┗ 日本でスケジュールを組んでいるときに2016年3月の大使館通達を見て知った、と回答 - 米国大使館でのインタビューでも面接官にイラン渡航の件は伝えたのか
- その時の面接官の反応は
もっとこまごまあった気がしますが、大枠こんな感じでした
別室送りによって生じる弊害
精神的ダメージはもとより、時間的・経済的ダメージが大きいこともあります
<1.トランジットの乗継便>
基本的には国境警備局の係官が航空会社に連絡してくれて
間に合わない場合はフライトキャンセルと振替便の依頼をしてくれるケースが多い
ただし、そこから先の損害等(飛行機の乗り遅れで生じたさまざまな変更手数料、キャンセル料等)は
一切保障してくれないので要注意
別室送りのリスクが疑われる方で、米国経由でトランジットの必要がある場合は、相当な余裕を持ったスケジュールが賢明です
<2.預け荷物>
バゲッジクレームにそのまま放置されている場合もあれば、係官がわざわざ持ってきてくれるケースもあります(まぁ荷物検査のためですが)
※私は基本すべて機内持込なので細かいことは不明
長引きそうなときはその辺にいる係官つかまえて確認する方が良いです
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以上、ざっくりとしてますが、“別室送り”のまとめでした
ちなみに、イランへ行った直後は、
オーストラリアやニュージーランド、欧州各地でも
別室までは行かなくても入国審査で足止めくって
厳重な荷物検査と職務質問をされたこともありました
あくまでも2016年当時の話です
「そんなことなかった」「あっけなく入国できた」という方も結構いるので、
そんなに神経尖らせる必要はないかもしれません
当たった担当係官の気分次第もあったり、運もあったり…
なお、近年のコロナパンデミック以降は
アジア系女性に対する米国での「売春」が多発しており、
そのため、とくに日本人女性のひとり旅は目を付けられやすいそうです
もはや世界一の信用力を持つ日本のパスポートは、米国の入国審査の前では大して機能しません
別室送りは一度経験すると、ホント、トラウマになります
それでも米国に入国して旅したい人は、事前の対策を怠らず、入国審査に臨んでください
おしまい
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