2018年6月26日、英トムソン・ロイター財団(Thomson Reuters Foundation)が「女性にとって危険な国TOP10 2018年版(The world’s most dangerous countries for women 2018)」を発表
男女平等が叫ばれ女性の地位も発言力も確実に強まる日本において
にわかに信じがたい別世界のようなお話ですが
今まさにこの瞬間も世界で女性らが直面している深刻な問題
国際問題に関心を持つと同時に、
もし出張や旅行などで訪れる機会があれば知っておくに越したことはないです
というわけで結果を整理しました
英語が堪能ではないので細かいニュアンスミスはご容赦ください
調査概要
調査内容
女性問題について、国際的な有識者550人から6つの項目についてアンケート調査を行ったもの
※2011年調査では1位はアフガニスタン、2位コンゴ共和国、3位パキスタン、4位インド、5位ソマリアの順
6つのKey(質問項目)
- Healthcare(医療):眼科医、歯科医、通常医師、あるいは障害や疾患、心的外傷に係る医療の専門知識を有する者への接触、HIV/AIDSの脅威を含む
- discrimination(差別):雇用差別、女性の自立機会への排除、土地・財産の所有権及び相続権の排除、教育を受ける権利の欠如、適切な栄養摂取の欠落も含む
- Cultural traditions(文化的な因習):酸攻撃および女性の性器切除、幼児期の結婚、強制結婚、何らかの懲罰や報復に対する投石や身体的暴行、切断、幼児殺害を含む
- Sexual Violence(性的暴行):戦時下でのレイプ、家庭内レイプ、第三者によるレイプ、レイプ問題に対する正当な権利主張の欠如、セクシャル・ハラスメント、強制わいせつを含む
- Non-sexual Violence(性暴力以外の暴行):紛争問題、身体的・精神的な家庭内暴力を含む
- Human trafficking(人身売買等):家庭内奴隷奉仕、強制労働、奴隷制、強制結婚、性奴隷化を含む
第1位 インド India
項目別ランキング
Healthcare(医療):4位
Discrimination(差別):3位
Cultural traditions(文化的な因習):1位
Sexual Violence(性的暴行):1位
Non-sexual Violence(性暴力以外の暴行):3位
Human trafficking(人身売買等):1位
補足説明
2012年、首都ニューデリーにて、バス車内で女子学生が男性の集団から性的暴行・殺害された事件をきっかけに性的暴行問題が表面化。政府の統計によると、現在も毎日約100件の性暴力が警察に通報されている。大都市は特に貧富の差が激しく、犯罪が多発化している。ニューデリーは“レイプの首都”という不名誉な悪名もある。
■日本の外務省海外安全情報【インド】
<旅行者が気をつけること>
- 空港の白タク・オートリキシャの客引きには応じない
┗ 悪質なホテル、旅行会社に連れて行かれる可能性高い - 日本語で親しげに話しかけてきた人には油断禁物
┗ 油断させておいて睡眠薬盛られる可能性高い - デリー駅前のパハールガンジ、カロルバーグ及びそれに隣接するコンノートプレイス周辺の旅行会社は極力利用しない
┗ 金額に見合わないツアーを組まされたりする - 知らない人から安易にものを受け取らない、飲食しない
┗ 睡眠薬盛られる可能性高い(全員ではないが用心するに越したことはない) - ローカルバスや人が混雑している場所ではスリに気をつけて
┗ 相手はプロなので巧みにスッていく(←そういえば、タージマハルの入場口で帽子盗られた)
など
第2位 アフガニスタン Afghanistan
項目別ランキング
Healthcare(医療):1位
Discrimination(差別):1位
Cultural traditions(文化的な因習):2位
Sexual Violence(性的暴行):7位
Non-sexual Violence(性暴力以外の暴行):1位
Human trafficking(人身売買等):7位
補足説明
2011年調査第1位から1ランクダウン。とはいえ、敬虔なイスラム教徒が暮らすアフガニスタンでは古い慣習による女性差別が激しい。特に医療、教育、女性の自立、家庭内暴力などは著しく低い。国連による再三通告にもかかわらず改善しない
■日本の外務省海外安全情報【アフガニスタン】
<旅行者が気をつけること>
- アフガニスタン全土が退避勧告発令中
┗ 不要不急以外は入国は控える - パキスタンとの国境での陸境超えは危険
┗ パキスタン人も危険と言っていたので命が大事なら止めた方がいい - 誘拐される可能性を考えて慎重な行動を
┗ 何かあったら国際問題に発展することを念頭に慎重な行動を
など
第3位 シリア Syria
項目別ランキング
Healthcare(医療):2位
Discrimination(差別):7位
Cultural traditions(文化的な因習):ランク外
Sexual Violence(性的暴行):3位
Non-sexual Violence(性暴力以外の暴行):2位
Human trafficking(人身売買等):ランク外
補足説明
シリア内戦が勃発して以来、51万人の命が犠牲となり、1800万人のシリア人のうち約550万人が難民キャンプへ、うち約610万人が依然シリア国内にとどまっている。シリアもまた敬虔なイスラム文化に基づき女性差別が激しい。特に紛争由来の暴力、医療ケアの欠如が激しい。
■日本の外務省海外安全情報【シリア】
<旅行者が気をつけること>
- シリア全土が退避勧告発令中
┗ シリアは戦争中。不要不急以外は入国すべきではない(報道関係でも今は止められている) - 誘拐のターゲットになりやすいので慎重な行動を
┗ 記憶に新しい、2015年の日本人2名の殺害など、日本人は身代金目当てに狙われやすい - 首都ダマスカスは意外に平穏とは聞くけどやっぱり止めた方がいい
┗ どこにテロリストが潜んでいるとも限らないので興味本位での訪問は控えた方がいい
など
第4位 ソマリア Somalia
項目別ランキング
Healthcare(医療):3位
Discrimination(差別):5位
Cultural traditions(文化的な因習):3位
Sexual Violence(性的暴行):10位
Non-sexual Violence(性暴力以外の暴行):9位
Human trafficking(人身売買等):ランク外
補足説明
1991年以来、イスラム過激派組織アル・シャバーブによるテロが多発するソマリア。2017年の新大統領就任により国家再建が進む一方、国連によると依然、推定610万人のソマリア人が生存の危機にさらされている。紛争による貧困、古い因習などにより女性差別は依然根強い
■ 日本の外務省海外安全情報【ソマリア】
<旅行者が気をつけること>
- ソマリア全土、退避勧告発令中
┗ 不要不急以外は近寄らない方がいい - 首都モガディシュでの爆弾テロの危険
┗ モガディシュ含むソマリア北部は特に危険らしい - ソマリア海域での海賊にも注意
┗ 一時期、「すしざんまい」社長が海賊を撲滅したなどというまことしやかなニュースが流れましたが、2017年3月以降、再発の兆しが見られるそうです
など
第5位 サウジアラビア Saudi Arabia
項目別ランキング
Healthcare(医療):ランク外
Discrimination(差別):2位
Cultural traditions(文化的な因習):5位
Sexual Violence(性的暴行):ランク外
Non-sexual Violence(性暴力以外の暴行):7位
Human trafficking(人身売買等):ランク外
補足説明
女性の自動車運転が禁じられている世界で唯一の国であったサウジアラビアでは、サルマン国王とムハンマド皇太子の改革により2018年6月から女性への免許発行、運転が解禁。保守的なイスラム教文化であったサウジも近年は女性の社会進出への機運が進んでいる。しかし、依然として女性差別は根深く、男性の許可なしにできないことが多い。また女性人権活動家の拘束・逮捕は国際的非難を浴びている
■ 日本の外務省海外安全情報【サウジアラビア】
<旅行者が気をつけること>
- そもそもビザ取得が困難
┗ 国内身元保証人が必要。身元保証人によるビザ申請が義務化されている - 車上荒らしの窃盗被害が多い
┗ お金持ちの国なのでスリ・置き引き・強盗等は少ない模様(無いわけではないので注意) - 外国人も容赦なくサウジの慣習に合わせる必要がある
┗ 女性は黒いアバヤと言うマントを頭の先から足の爪先まですっぽりかぶるか、とにかく頭と肌の露出は絶対NG
┗ 外出先では男性と女性は別席(家族であっても)
┗ 中学生以上の成人男性の半ズボン着用は禁止 - 女性の独り歩きは厳禁
┗ イスラム教の教義より。外国人なのでそこまで厳しくないかもしれませんが控えるに越したことはない - 官公庁、軍事施設、空港施設、石油関連施設の撮影禁止
┗ 見つかったらデータ削除、フィルム没収、最悪身柄拘束、国外追放だそうです
など
第6位 パキスタン Pakistan
項目別ランキング
Healthcare(医療):ランク外
Discrimination(差別):4位
Cultural traditions(文化的な因習):4位
Sexual Violence(性的暴行):7位
Non-sexual Violence(性暴力以外の暴行):5位
Human trafficking(人身売買等):10位
補足説明
2017年政府による過激派テロ組織タリバンへの掃討作戦でテロ組織は撲滅したとのことだが依然、アフガン国境付近は危険。田舎ほど女性差別がひどく、国際銀行によると、パキスタンの既婚女性で3人に一人は夫による暴力、虐待を受けているとされる。また男性への不誠実(駆け落ち、複数男性との交遊など)が発覚すると「名誉のため」と称して見せしめに女性を殺害する因習も依然残っている
■ 日本の外務省海外安全情報【パキスタン】
<旅行者が気をつけること>
- アフガンとの国境付近は近づかない
┗ パキスタン人ですら誘拐されるから危険と言っていたので近づかない方がいい - バス車内、乗り合いタクシー等でのスリ・強盗に注意
┗ iPhoneなどはアップル関連商品は狙われやすいので気をつけて - 港湾、橋、鉄道、空港、軍事施設等の写真撮影は禁止
┗ 最悪、データ没収、身柄拘束されるとか(←空港撮りまくったけど大丈夫だったが…) - 女性を撮影することは控えること
┗ バレた場合、村人からカメラ没収危険がある(←事前承諾をもらえたら大丈夫だった)
など
第7位 コンゴ共和国 Democratic Republic of the Congo
項目別ランキング
Healthcare(医療):7位
Discrimination(差別):8位
Cultural traditions(文化的な因習):9位
Sexual Violence(性的暴行):2位
Non-sexual Violence(性暴力以外の暴行):8位
Human trafficking(人身売買等):ランク外
補足説明
コンゴ共和国には独特の性的被害が多発している。マチェーテという斧を振りかざした輩の襲撃やギャングによるレイプなどで、約430万人の女性やこどもたちがこれらの危険にさらされている。
■ 日本の外務省海外安全情報【コンゴ共和国】
<旅行者が気をつけること>
- 政情は比較的安定しているが、都市部における凶器を使った凶悪犯罪が多発しているので注意
┗ 金目のものはわかるように持ち歩かないこと、iPhone、iPadなども狙われやすい - 港湾、橋、鉄道、空港、軍事施設等の写真撮影は禁止
┗ 最悪、カメラ没収、身柄拘束されるとか - 何より伝染病に注意
┗ 黄熱病はイエローカード携帯、マラリア対策、ポリオワクチンの投与、コレラ・細菌性下痢症に注意
┗ 生水、氷は避けミネラルウォーターのみ。加熱した料理を食べる
┗ 長袖長ズボン、蚊よけ対策は必須
など
第8位 イエメン Yemen
項目別ランキング
Healthcare(医療):4位
Discrimination(差別):5位
Cultural traditions(文化的な因習):7位
Sexual Violence(性的暴行):ランク外
Non-sexual Violence(性暴力以外の暴行):4位
Human trafficking(人身売買等):ランク外
補足説明
内政不安による空爆などの武力衝突が耐えないイエメン。これまでに1万人以上の犠牲者と2200万人以上の人民が命の危機にさらされている。イエメンもまた敬虔なイスラム教徒なので女性差別は根強い。
■ 日本の外務省海外安全情報【イエメン】
<旅行者が気をつけること>
- イエメン全土が退避勧告発令中
┗ 不要不急以外は行くべきではない(官公庁機関ですら退避中) - コレラ、デング熱、マラリア等の感染症のリスク
┗ 紛争による衛生管理の悪化で感染症のケースが増えているとか
など
第9位 ナイジェリア Nigeria
項目別ランキング
Healthcare(医療):ランク外
Discrimination(差別):ランク外
Cultural traditions(文化的な因習):6位
Sexual Violence(性的暴行):10位
Non-sexual Violence(性暴力以外の暴行):ランク外
Human trafficking(人身売買等):4位
補足説明
イスラム過激派組織ボコ・ハラムによりこれまでに3万人以上が殺害され、世界で最も人権が脅かされている国の一つ。何万ものナイジェリア人女性が性的労働のためにヨーロッパに人身売買されていると言われる
■ 日本の外務省海外安全情報【ナイジェリア】
<旅行者が気をつけること>
- テロに巻き込まれないよう細心の注意
┗ テロの標的は大勢の人が集まる施設(空港・デパート・公共施設など)なので周囲に気を払い不審者には近寄らない - ウマい儲け話には乗せられないよう
┗ ナイジェリアを舞台とする国際的詐欺団による被害が多発している模様。運び屋などは一切断ること(覚せい剤の可能性あり) - 伝染病に注意
┗ マラリア、黄熱病、コレラ、デング熱など蚊や虫を媒介とする伝染病汚染地域なので蚊よけ対策は必要
など
第10位 アメリカ合衆国 USA
項目別ランキング
Healthcare(医療):ランク外
Discrimination(差別):ランク外
Cultural traditions(文化的な因習):ランク外
Sexual Violence(性的暴行):3位
Non-sexual Violence(性暴力以外の暴行):6位
Human trafficking(人身売買等):ランク外
補足説明
米国では2017年、ハリウッド女優や著名人らによるセクハラや性被害の告発に端を発した「#MeToo」というSNS拡散運動が社会現象化した経緯がある。性的暴行、家庭内暴力が多い。
■ 日本の外務省海外安全情報【アメリカ合衆国】
※海外安全情報に地域別に犯罪状況と事例などがびっちり紹介されているのでよく読むこと
<旅行者が気をつけること>
- 銃社会なのでもし襲われたら無抵抗で従うこと
- 警官といえども職務質問されたら無抵抗で従うこと
- スリ・置き引き・強盗・車上荒らしに気をつけること
- 空港などの白タクは拒絶すること
- 人気のない路地などで夜間、女性の独り歩きは十分気をつけること
など
参考:項目別・国別ランキング
Healthcare(医療)に関する国別TOP10
第1位 アフガニスタン Afghanistan
第2位 シリア Syria
第3位 ソマリア Somalia
第4位 イエメン Yemen
第5位 インディア India
第6位 南スーダン South Sudan
第7位 コンゴ共和国 Democratic Republic of the Congo
第8位 コンゴ Congo
第9位 シエラレオネ Sierra Leone
第10位 中央アフリカ Central African Republic
Discrimination(差別)に関する国別TOP10
第1位 アフガニスタン Afghanistan
第2位 サウジアラビア Saudi Arabia
第3位 インド India
第4位 パキスタン Pakistan
第5位 ソマリア Somalia
第5位 イエメン Yemen
第7位 シリア Syria
第8位 コンゴ共和国 Democratic Republic of the Congo
第9位 南スーダン South Sudan
第10位 バングラデシュ Bangladesh
第10位 イラン Iran
Cultural traditions(文化的な因習)に関する国別TOP10
第1位 インド India
第2位 アフガニスタン Afghanistan
第3位 ソマリア Somalia
第4位 パキスタン Pakistan
第5位 サウジアラビア Saudi Arabia
第6位 ナイジェリア Nigeria
第7位 イエメン Yemen
第8位 エジプト Egypt
第9位 コンゴ Congo
第9位 スーダン Sudan
第9位 コンゴ共和国 Democratic Republic of the Congo
Sexual Violence(性暴力)に関する国別TOP10
第1位 インド India
第2位 コンゴ共和国 Democratic Republic of the Congo
第3位 アメリカ合衆国 USA
第3位 シリア Syria
第5位 コンゴ Congo
第6位 南アフリカ共和国 South Africa
第7位 パキスタン Pakistan
第7位 アフガニスタン Afghanistan
第9位 メキシコ Mexico
第10位 ソマリア Somalia
第10位 エジプト Egypt
第10位 ナイジェリア Nigeria
Non-sexual Violence(性暴力以外の暴行)に関する国別TOP10
第1位 アフガニスタン Afghanistan
第2位 シリア Syria
第3位 インド India
第4位 イエメン Yemen
第5位 パキスタン Pakistan
第6位 アメリカ合衆国 USA
第7位 サウジアラビア Saudi Arabia
第8位 コンゴ共和国 Democratic Republic of the Congo
第9位 メキシコ Mexico
第9位 ソマリア Somalia
Human trafficking(人身売買等)に関する国別TOP10
第1位 インド India
第2位 リビア Libya
第3位 ミャンマー Myanmar
第4位 ナイジェリア Nigeria
第5位 ロシア Russia
第6位 フィリピン Philippines
第7 アフガニスタン Afghanistan
第8位 タイ Thailand
第9位 ネパール Nepal
第10位 パキスタン Pakistan
**********
以上、調査結果でした
どんな調査方法で統計をとったのかの詳細が不明なため
TOP10にアメリカが入るのにやや違和感ありますが
いい警鐘にはなるでしょう
ちなみに、
外務省情報で危険度MAXでどれだけ真っ赤な地域であっても
実際訪れてみると住民は案外普通に暮らしていて
危険さや女性差別を感じさせないのが正直なところ
とはいえ、現実的には凶悪犯罪はよく国際ニュースで報じられているし
日本人女性旅行者でも被害に遭うケースを最近よく耳にするので
要するに、旅行者の場合
日本にいるときと同じ感覚で旅するのは間違いなく厳禁
その国の常識、文化、慣習の違いをわきまえた上で
華美な服装、露出の多い服装を控え
甘い言葉に惑わされず、近寄る男を毅然と断り
無神経にiPhone片手に写真撮りまくるなどしなければ
想像するより安全に旅できると思います
個人的な感想ですが
男女問わず、
世界的にiPhoneあるいはiPadはスリのターゲットなので
それらを何気なく持ち歩いているだけで
「狙ってください」と自ら看板ぶら下げているようなものなので
十分気をつけて行動してください
以上、ご清聴ありがとうございました
何かの参考になれば幸いです