2017年11月22日放送、テレビ東京(通称テレ東)のWBS(ワールド・ビジネス・サテライト)
特集の一つ、「白熱!ランキング」コーナーにて紹介されていた
「日本全国この世の地獄ランキング2017」

ちょっと面白そうなので、深堀してまとめてみました

ぜひお楽しみください

「WBS白熱!ランキング~日本全国この世の地獄ランキング2017」

今、日本でも「地獄」がちょっとしたブーム

神社・仏閣よりも
地獄を体感できるテーマパークや冥土スポット
美術書、漫画に地獄イラスト
そんなものが流行っているらしい

非日常の空間でハラハラドキドキ
スリルを通した一種の現実逃避が快感なのか
はたまた己の罪深さを地獄で裁かれたいのか

地獄って楽しむものではない気がしますが
そんなことも娯楽で受け入れちゃう
その柔軟性と調子の良さが日本人のいいところですよね

 

1位別府地獄めぐり(大分県別府市)

「海地獄」「血の池地獄」「龍巻地獄」「白池地獄」「鬼石坊主地獄」「鬼山地獄」「かまど地獄」
以上7つが別府名物の「地獄めぐり」

1000年以上も昔から忌み嫌われ
今よりもっと信心深い村人からは

噴気・熱湯・熱泥のおどろおどろしい風景が
地獄に見えたところがはじまりだとか

大分県 別府温泉 地獄めぐり 血の池地獄 Chinoike-Hell Beppu
別府温泉地獄めぐり 血の地獄

今では立派な別府観光の筆頭に成長

温泉・足湯も楽しめますよ!

大分県 別府温泉 地獄めぐり 血の池地獄 Chinoike-Hell Beppu
血の池地獄名物「毎日が地獄です」Tシャツ

個人的には、お土産物で売られていた「地獄Tシャツ」が
現代社会を如実に反映していてツボにハマりました

参考情報
別府地獄組合「別府地獄めぐり

 

2位立山地獄(まんだら遊苑)(富山県立山町)

「曼荼羅」とは仏の悟りの境地であり宇宙の真理そのもの

そのすごさは2次元の世界だけでは伝わらない!
立山三山(雄山・浄土山・別山)その他総動員で
「立山曼荼羅」を全身で感じてもらいたい!

という熱い想いで誕生したのが「まんだら遊苑」だそう

今では子どもの教育の場としても大人気で前年比2割増しとのこと ※2017年当時
閻魔様様ですね

参考情報
富山県[立山博物館]「まんだら遊苑

 

3位千本えんま堂(京都市)

正確には「千本えんま堂 引接寺(いんじょうじ)」

住所は「京都市上京区千本通鞍馬口下ル閻魔前町34」で、
まさに閻魔様のおわす場所といった感じ

怖い顔した閻魔様は決して地獄界のドンではなく

亡くなった魂を
どこへ行かせるか地獄の沙汰を下す、公平な裁判官

「嘘をついたら舌引っこ抜くぞ」といわんばかりのコワモテ形相で相手をビビらせ、本音を吐かせるのが仕事

千本えんま堂・引接寺(京都市上京区)
千本えんま堂・引接寺 Photo by Wikimedia

毎月16日は「ゑんま様の日」
ご開帳により閻魔様のお顔を拝めますよ

参考情報
千本えんま堂 引接寺「本尊閻魔法王
千本ゑんま堂大念佛狂言保存会「ゑんま堂狂言

 

4位賽の河原(新潟県佐渡市)

親に先立ち亡くなった子の魂が
さまよい集まる場所が「賽(さい)の河原」

そんな子が親の供養のために石を積み塔を作る
それを非情な鬼が破壊し徒労に終わる
(なので「賽の河原」は「無駄な努力」のたとえでもある)

しかし最後は地蔵菩薩が子を救い塔を完成させる

という哀しく重苦しい想いで満たされている賽の河原

結構、日本全国に散らばっているようです
(青森の恐山の方が有名だと思った…)

賽の河原(新潟県佐渡島)
佐渡島の「賽の河原」 Photo by 佐渡観光フォト

なお、一木一草一石、何一つ持ち帰ってはなりません
必ず不幸に見舞われると言い伝えがあるとか
くれぐれもご注意を

参考情報
さど観光ナビ「賽の河原
Wikipedia Japan「賽の河原

 

5位登別地獄谷(北海道登別市)

北海道随一の人気温泉街「登別」

ここにも噴気孔や煮えたぎる湯の池に
鬼の棲み処を見立てた地獄谷がありました

日和山の噴火活動によりできた爆裂火口跡は
直径約450m、総面積は約11ヘクタール

登別温泉地獄谷(北海道)
登別地獄谷

実は登山道は夜21時半頃まで点灯しており
鬼火の路」として
かなりロマンチックムードが味わえるとのこと
恋人たちは噴気のごとくより熱々になること請け合い

参考情報
一般社団法人登別国際観光コンベンション協会「登別地獄谷

 

6位六道珍皇寺(京都市東山区)

昔、日本史で「古事記」を学んだとき
冥界への入口は、日本神話の舞台・出雲の近くにある
黄泉平坂(よもつひらさか)だと思っていたが

ここ大阪にも冥土の入口がありました

それが「六道珍皇(りくどうちんこう)寺」

「六道」とは仏教の教義でいう
地獄道・餓鬼(がき)道・畜生(ちくしょう)道・修羅(しゅら)道・人道・天道の六種の冥界をさす
平たく言えばあの世とこの世の境目だ
それを「六道の辻」という

六道珍皇寺(京都市東山区)
六道珍皇寺 Photo by mariemon via Wikimedia

遣隋使・小野妹子を祖にもつエリート家系に生まれ
頭脳明晰イケメンダンディー(という言い伝え)の
小野篁(おののたかむら)が
六道の辻にある「冥土の井戸」を通じて冥界を行き来し
閻魔大王のサポートをしていたという伝説

閻魔様の地獄よりもむしろ
この小野篁の魅力で詰めかけるおばさまたちが多いらしいです

参考情報
六道珍皇寺「六道の辻

 

7位太宗寺(東京都新宿区)

東京にも実はあった閻魔堂

江戸の入口を司った新宿のまち
悪いものが入ってこないよう願いを込めて建立し
以来、「内藤新宿のお閻魔さん」として庶民の信仰篤く
1月と7月の16日には縁日も開催されていたとのこと

高さ5.5mもの巨大木造の閻魔像は
震災の憂き目に遭い
頭部を残して他は何度も修復されたものとのこと

太宗寺(東京都新宿区)
新宿にある太宗寺 Photo by tak1701d via Wikimedia

現在は毎年お盆の7月15・16日にご開帳され、直にご尊顔を拝めますよ

参考情報
一般社団法人新宿観光振興協会「大宗寺
Wikipedia Japan「大宗寺

 

8位野中山 全興寺(大阪市平野区)

今から1300年以上も昔
かつての日本の一万円札を飾った
あの聖徳太子の時代が創建といわれる由緒ある古刹

しかし、閻魔大王のおわす地獄堂には
ドラを叩くと大王がしゃべりだし
地獄の様子が映像で映し出されるという
意外なハイテクの地獄堂です
(地獄堂自体は1980年代に建てられた比較的新しいもの)

増え続ける中高生のいじめや自殺に心を傷めた住職が建てた地獄堂
閻魔様が最後に語る「命を大切に」の言葉の重みをかみしめるように!

参考情報
一願不動薬師堂 全興寺「地獄堂
Wikipedia Japan「全興寺

 

9位川原毛地獄(秋田県湯沢市)

川原毛(かわらげ)地獄は
青森県の恐山、富山県立山と並ぶ日本三大霊地の一つ

草木も生えない灰白色の山肌
そこから立ち上る無数の噴気
グツグツ煮えたぎる温泉
立ち込める高濃度の硫黄臭
そこはまさに地獄

ちなみに名物の川原毛大湯滝は
全国的にも世界的にも珍しい湯の滝
天然の露天風呂です

川原毛地獄(秋田)
川原毛地獄 Photo by Ippukucho via Wikimedia

なお、冬季は完全通行止め、11月上旬~5月上旬まで閉鎖されるのでご注意を
ちなみに携帯電波は「まれに」つながるそうです

参考情報
秋田県湯沢市役所「川野毛地獄

 

10位大涌谷(神奈川・箱根町)

現在も火山活動を続けている箱根山連山

2015年春、大涌谷の火山活動が急に活発になり
警戒レベル引き上げと大涌谷の立入に規制が敷かれて
箱根のまちが閑散としたのは記憶に新しいところ

とはいえ
あのグツグツ煮えたぎる地獄湯で茹でた
くろたまごはやはり格別

大涌谷(神奈川県箱根)
大涌谷(神奈川県箱根) Photo by 663highland via Wikimedia

一度は激減した観光客も今ではすっかり元に戻っているとか

文字通り、“地獄”を見た地元の人々は
それでも見事に復活を果たす
箱根はそれだけ日本に愛された土地なんですねぇ

参考情報
奥箱根観光株式会社 大涌谷くろたま館「大涌谷をたのしむ
箱根ナビ「大涌谷

 

総括

日本でいう「地獄」のイメージは
鬼が棲むようなグツグツ煮えたぎる温泉や
噴気上がる殺伐とした山々

かたや地獄の門番を司る閻魔大王を崇め
魑魅魍魎の鬼や奪衣婆(だつえば)を従え
「嘘をつくと地獄へ落とすぞ」と凄む

要するに、地獄の先を具体的に見せない

この辺は日本特有の「多くを語らずして察する」「臭いものには蓋」的な国民性ゆえんだろうか
昔々の「地獄草紙」を見ても、あんまりおどろおどろしさがない
今も昔もストレートすぎる表現は好ましくない

真逆に位置するタイの
「これぐらい見せとかないと普通わかんないだろ」的な
ストレートすぎる地獄の表現は
確かに子どもの教育的指導に効果抜群だよね

 

番外編

最後におまけで、世界の地獄をご紹介

地獄の門 Door to Hell(トルクメニスタン・ダルワザ)

トルクメニスタン 地獄の門 Turkmenistan A Door to the hell
40年以上燃え盛る炎「地獄の門(Door to the Hell)」

40年以上燃え続ける天然ガスのクレーター

 

ダナキル砂漠 Danakil Depression(エチオピア・アファール)

エチオピア ダナキル砂漠, Ethiopia Danakil dessert
極彩色といわれる美しいようで怖い灼熱地獄「ダナキル砂漠」

極彩色の高濃度の硫黄溶岩地帯 気温40℃以上の灼熱地獄

 

カワイジェン火山 Kawah Ijen Volcano(インドネシア・東ジャワ)

インドネシア カワイジェン Indonesia Kawah-Ijen
世界最大級の強酸性硫酸の湖と有毒ガスがまん延する「カワイジェン火山」

寿命縮める高濃度の硫黄煙と骨まで溶かす高濃度の強酸性溶岩湖

 

【Special Thanks】
WBSならびに各Instagram公式様には深くお礼申し上げますm(_ _)m

 

<All Photos other than Instagram and Wikimedia images by Mayumi>

 

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