天空の城ラピュタのトリビア Castle in the Sky Trivia

2022年8月12日、映画公開から実に13回目の日本テレビ・金曜ロードショー放送、『天空の城ラピュタ』

そのとき、Twitterのタイムラインに流れてきたラピュタに関する面白いトリビアを今更ながらまとめてみました(メインは金曜ロードショー公式Twitterです)

すでに知っているもの、はじめて聞くもの、観れば観るほど奥が深くて、やはりヘビロテしてしまう名作ですね

 

「スタジオジブリ」の名前の由来

 

<トリビアのポイント>
  • 「スタジオジブリ」は天空の城ラピュタを制作するために発足したアニメーションスタジオ
  • “GHBLI”第2次世界大戦中に使用されたイタリアの軍用偵察機の名前
  • また、”GHIBLI”は、「サハラ砂漠に吹く熱風」を意味するイタリア語⇒日本のアニメ業界に旋風を巻き起こそうという想いが込められている
  • 正しい発音は「ギブリ」だが、宮崎監督が勘違いして「ジブリ」に
  • 当初、海外では「スタジオギブリ」と呼ばれていた

 

★参考:スタジオジブリ公式サイト「Q&A」より

 

キャッチコピーの「ある日、少女が空から降ってきた」について

 

<トリビアのポイント>
  • 1986年映画公開時のポスターでは、シータが空から降ってくる本シーンが使われた
  • 当時のキャッチコピー「ある日、少女が空から降ってきた」
  • セリフを一切使わず、映像だけで石や少女のふしぎな力、これから何かが起こりそうな予感を表現したこの印象的なシーンは、アニメーション史上類を見ないドラマチックな演出だった

 

ラピュタ音楽制作秘話

 

<トリビアのポイント>
  • 制作当初、宮崎監督の中では、ラピュタの音楽は宇崎竜童さんに依頼する予定だった
  • しかし、プロデューサーであった故 高畑勲監督の再考で、ナウシカ作品に続き久石譲さんに続投が決まったそう

 

パズーが吹くトランペット曲

 

<トリビアのポイント>
  • パズーが奏でるトランペット曲「ハトと少年」久石譲さんのオリジナル曲⇒【参考Youtube
  • 演奏は、当時としては最大規模の50人編成のオーケストラで録音された ※ちなみに演奏はトランペット奏者の数原晋さん(参考記事⇒こちら
  • パズーの当初の設定は、トランペットを持ちながら冒険する少年だった

 

ラピュタのタイトル秘話

 

<トリビアのポイント>
  • ラピュタ発案時の仮タイトル『少年パズー・飛行石の謎』
  • 仮サブタイトルは、『空中城の虜』『空とぶ宝島』『飛行帝国』
  • 主人公パズーの名前宮崎監督が学生時代に考えた船乗りの名前
  • シータの名前の由来は、数学記号の『θ(シータ)』
  • シータは、監督が大学時代に書いた人形劇のヒロインの名前にも使われているそう

 

「ラピュタ」の綴り

 

<トリビアのポイント>
  • パズーがシータにラピュタのことを話すシーン、本の背表紙には「RAPUTA」と書かれている
  • 制作当初の綴り「LAPUTA」ではなく「RAPUTA」だったらしい
  • ちなみに、「LA PUTA(ラ・ピュータ)」はスペイン語で「売春婦」の意味。そのため、スペイン系移民の多い米国や英語圏の国には影響があるとのことで英語タイトルが「Castle in the sky」となった、というのも有名な話

 

宮崎監督作品定番の「ボーイ・ミーツ・ガール」

 

<トリビアのポイント>
  • 主人公の男女が出会ってすぐに心を通わせる「ボーイ・ミーツ・ガール」の手法は宮崎監督作品の定石
  • 本作でも、シータをかばって受け止めるときの絵コンテには「シータ、パズーが好きになる」と書かれているそう

 

パズーたち炭鉱夫の暮らすスラッグ渓谷のモデル

 

<トリビアのポイント>
  • パズーとシータを乗せた軽便鉄道(鉱山鉄道)の蒸気機関車が走っている場所は、炭鉱夫たちが働く鉱山スラッグ渓谷
  • スラッグ渓谷のモデルは、産業革命頃のイギリス・ウェールズ地方
  • 故 高畑勲監督による助言で、宮崎監督は単身、産業革命の本場イギリスへ2週間ロケハンへ
  • 当時付添のガイドの話によると、宮崎監督はイギリスの名所旧跡は回らず、炭鉱や草原ばかり見学していた
  • また、監督が空を見上げて雲ばかり見ているので、日本に雲はないのかと思ったそう

 

★参考:スタジオジブリ公式サイト⇒「Q&A>Q.作品の舞台はどこですか?>21.大いに参考にした場所

パズーの声を演じた田中真弓さんとシータの声を演じたよこざわけいこさん

 

<トリビアのポイント>
  • パズーの声を演じた田中真弓さんは、『ドラゴンボール』のクリリン『ONE PIECE』の主人公・ルフィの声なども担当
  • シータの声を演じたよこざわけいこ(横沢啓子)さんは、『ドラえもん』初代ドラミちゃん『エスパー魔美』の主人公・佐倉魔美などの声を担当

 

ジブリ飯の代表格「ラピュタパン」

 

<トリビアのポイント>
  • ジブリ飯を代表する「ラピュタパン」
  • 映画が放送される前後になると、ファンの多くが朝食やランチ(夜食)に食しはじめるのが定番の流れ

 

パズーとシータが降り立つ飛行石の廃坑の設定

 

<トリビアのポイント>
  • 当初案では、パズーとシータが廃坑に降り立ったとき、飛行石がギンギンに光る場所に迷い込むというシーンだったそう
  • 結局、ポムじいさんに出会ってから飛行石たちが共鳴するシーンに変更されたそうです

 

ポムじいさん

 

<トリビアのポイント>
  • ポムじいさんの声は、『まんが日本昔ばなし』でおなじみの故 常田富士男(ときた ふじお)さん
  • 3日間かけたアフレコの一番最後の録音は常田さんのシーンだそう
  • テスト2回でOK出たものの、実は「ラピュタ人」がどうしても「ラピューター人」となってしまって苦労したそう

 

シータを追うロケット型軍用機

 

<トリビアのポイント>
  • シータを追いかけてきた軍用機は対フラップター用に緊急配備された中型飛行艇
  • 大きさは、全長約13.56m、全高5.48m、全幅27.40m、最高時速約115kmの設定だそうです

 

「ラピュタ」タイトルの由来

 

 

<トリビアのポイント>
  • ラピュタのモデル『ガリバー旅行記第3部』に登場する空中の浮島で、本作ではまだ滅びずに残っているという設定
  • 宮崎監督が中学生の頃に読んだ原作を思い出し、本作のタイトルになったそう
  • ちなみに、そのときまでラピュタの名前はすっかり忘れていて、奥様に電話して調べてもらったそうです

 

女海賊船長ドーラのモデル

 

<トリビアのポイント>
  • 女海賊船長のドーラのモデル宮崎監督のお母様
  • 宮崎監督のお母様は病気がちで、監督が6~15歳の9年間、病床に伏していたそう
  • しかし、息子4人束になってもかなわないほど、精神的迫力はドーラに通ずるものがあったそう

 

ドーラのモデルと名前の由来

 

<トリビアのポイント>
  • ドーラの年齢50歳くらい(「伊達に女を50年やってるんじゃないよ」のセリフにもあり)
  • ドーラのモデルは、『風の谷のナウシカ』制作時に他界した宮崎監督のお母様
  • 名前の由来第二次大戦時に製造されたドイツ軍の巨大列車砲「Doraだそう

 

女海賊ドーラの若かりし頃

 

<トリビアのポイント>
  • ドーラの寝室の壁に掛けられた肖像画ドーラの若かりし頃のもの
  • シータはドーラの若い頃にそっくりらしいので、シータが年をとったらドーラになる可能性大

 

空中海賊ドーラ一家の乗組員構成

 

<トリビアのポイント>
  • ドーラの3人息子、長男シャルル、次男ルイ、三男アンリ。名前の由来は歴代フランスの王の名前
  • さらにドーラが見込んで連れてきた子分5人。絵コンテではそれぞれ「カ」「キ」「ク」「ケ」「コ」と記されていて、ポルトガル人の「カ」、エジプト人の「キ」、中国人の「ク」、日本人の「ケ」、セネガル人の「コ」
  • そして最後はベテラン機関士、乗組員からは「じっちゃん」と呼ばれている「ハラ・モトロ」

 

ドーラの3人息子の年齢設定

 

<トリビアのポイント>
  • 長男シャルルが30歳(胸襟対決でシャツをズタズタにした髭大男)
  • 次男ルイは25歳(ちょび髭で真っ先にシータを「イイ…」と気に入った男)
  • 三男アンリは20歳(そばかすでひげなし、存在感の薄い男)

 

空中海賊船タイガーモス号の構造

 

<トリビアのポイント>
  • 空中海賊船の「タイガーモス号」は、天才科学者だったドーラの亡き夫が製造した形見
  • 全長約42m、最高速度は時速約133km
  • 武装はされておらず、あくまで飛行船タイプ。腹部にフラップター(虫型はばたき機)を収納する格納庫有り

 

タイガーモス号にはプライバシーはない

 

<トリビアのポイント>
  • 見張り台兼偵察用グライダーでのパズーとシータの会話タイガーモス号中に筒抜け
  • ドーラが寝室で聞いているほか、コックピットでもシャルルとルイと子分”コ”が盗み聞き
  • “この船にプライバシーはない”そうです

 

タイガーモス号での二人の会話の時刻

 

<トリビアのポイント>
  • 見張り台でのパズーとシータの会話は、ドーラの寝室の時計によると、具体的に深夜「午前3時10分頃」

 

見張り台でシータを女性として意識したパズー

 

<トリビアのポイント>
  • タイガーモス号の偵察用凧が突風に煽られシータがパズーにしがみつく場面。パズーはシータの胸の膨らみを背中に感じて、だからこそ毅然としているそう

 

ラピュタという浮島の設定

 

<トリビアのポイント>
  • 浮島であるラピュタには当初さまざまな設定があったものの、絵コンテの段階で物語に組み込む余裕がなくなり、最終的にはしょられた
  • パズーとシータがラピュタ上陸後、気絶しているのは、そうした細かな説明を省くためだったそう

 

ラピュタ人が作ったロボットたち

 

<トリビアのポイント>
  • ラピュタのロボットたちは自律式の半有機体ロボットで、身長344cm、体重238kg
  • 飛行石に反応し、ラピュタ人のみに忠誠を誓う仕組み
  • 胸の紋章や色は役割によって異なり、戦闘、看護、園丁などで分類されていた
  • 顔の中央にある2つの発行体ラピュタ人と意思疎通が可能
  • ちなみに、ロボットがはじめて登場したのはTVアニメ『ルパン三世』第155話「さらば愛しきルパンよ」

 

ナウシカにも登場する架空の生物:「キツネリス」

 

<トリビアのポイント>
  • 『風の谷のナウシカ』の主人公ナウシカのペット「テト」としても登場するキツネリスがラピュタでも再登場

 

ナウシカにも登場する架空の生物:「ミノノハシ」

 

<トリビアのポイント>
  • ラピュタの園丁の池に登場する小さな水生生物「ミノノハシ」は、宮崎監督が考案した架空の生物
  • こちらも初登場はナウシカの原作「シュナの旅」
  • その後、漫画版『風の谷のナウシカ』、映画『もののけ姫』にも登場し、宮崎アニメ作品には欠かせないキャラに

 

エンディングシーンのフラップターでのドーラ

 

<トリビアのポイント>
  • エンディングで、パズーとシータが乗る凧(グライダー)がフラップターに近づく場面で、先頭車両にいたドーラの移動の速さがハンパないらしい

 

物語~二人のその後

 

<トリビアのポイント>
  • 小説版によると、後日談として、シータは半年後にゴンドアの谷に戻っている
  • パズーは、パズーの自宅で制作していた飛行機「オーニソプスター」を引き続き制作
  • ついにオーニソプスターを完成させて、ゴンドアの谷で待っているシータへ会いに行くようです

 

宮崎監督の本作への思い

 

<トリビアのポイント>

ラピュタ制作が開始された38年前、宮崎駿監督は本作の企画原案の中で、その想いを以下のように記しているそうです(「天空の城ラピュタ 企画原案」より ※この段階での仮タイトルは「少年パズー・飛行石の謎」)

 

『風の谷のナウシカ』が高年齢層を対象とした作品なら、パズーは、小学生を対象の中心とした映画である。
『風の谷のナウシカ』清冽で鮮烈な作品を目指したとすれば、パズーは愉快な血わき肉おどる古典的な活劇を目指している。
パズーの目指すものは、若い観客達が、まず心をほぐし楽しみ、よろこぶ映画である。

笑いと涙、真情あふれる素直な心、現在もっともクサイとされるもの、しかし実は観客たちが、自分自身気づいていなくても、もっとも望んでいる心のふれあい、相手への献身、友情、自分の信ずるものへひたむきに進んでいく少年の理想を、てらわずにしかも今日の観客に通ずる言葉で語ることである。

現今の多くのアニメーションが、『ドラえもん』をのぞき、劇画を基盤とするならば、パズーはマンガ映画の復活を目指している。
小学校の四年(脳細胞の数が大人と同じになる年齢)を対象の中心にすえることで、幼児の観客層を掘りおこし、対象年齢を広くする。

(中略)アニメーションはまずもって子供のものであり、真に子供のためのものは、大人の鑑賞に充分たえるものなのである。
パズーは本来の源にアニメーションをとりもどす企画である。

 

ちなみにこちらは、2022年8月12日放送時のデータ放送あらすじにて紹介された、当時の映画パンフレットの「宮崎監督の想い」

古典的骨格を持つ冒険物語を、今日の言葉で語れないだろうか。

正義は方便になり、愛は遊びになり、夢が大量生産品になったこの時代だからこそ、無人島が消され、宇宙が食い尽くされ、宝物が通貨に換算されてしまう時代だからこそ、少年が熱い想いで出発する物語を、発見や素晴らしい出会いを、希望を語る物語を子どもたちは待ち望んでいる。

自己犠牲や献身によってのみ獲得される絆について、なぜ、語ることをためらうのだろう。

子どもたちのてらいや、皮肉や諦めの皮膜の下に隠されている心へ、直に語りかける物語を心底つくりたい。

 

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このほか、より詳しいトリビアや解説はこちらが参考になります。ぜひお楽しみください

参考情報

以上、楽しんでもらえたら嬉しいです

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