(公開日2025/10/08)

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かつて約293万人もの観客数を動員して日本中を熱狂させた「ツタンカーメン展」。
その60年後となる2025年3月、今度は古代エジプト史上「もっとも偉大な王」と称えられたラムセス二世にまつわる至宝約180点が集結した「ラムセス大王展」が満を持して来日しました。
大好評につき、2026年1月4日まで会期が延長された同展覧会。一生に一度とないこの機会、改めてその魅力と見どころをご紹介します。
<「ACN ラムセス大王展 ファラオたちの黄金』でのオフショット一覧>
本編では使わなかったラムセス大王展でのオフショットと裏話をご紹介

約180点もの古代エジプトの秘宝が集結した「ACN ラムセス大王展」
1周はだいたい平均1時間程度らしいのですが、じっくり眺めて撮影もしていたら2時間半ぐらいかかりました……
入場すると、まずは180度の巨大スクリーンでラムセス二世(ラムセス大王)の偉業とざっくりとした歴史の映像ガイダンスがはじまります(約5分)
テンション引き上げてくれます

映像ガイダンスが終わって次の間へ
ここからいよいよスタート
まずは「ラムセス2世の巨像の頭部」がお出迎え、横の落款みたいなのはラムセス2世のカルトゥーシュ
これも触れられそうな至近距離で、なめるように前から横から眺められます
3000年以上前のものだと思うと、感慨深い

これは「雄羊の頭を配した器を捧げるスフィンクスとしてのラムセス2世像」
これはかつてルクソールのカルナック神殿の「アムン・ラー大神殿」に鎮座していたものだそうです
これも360度からグルグル眺められます

ジオラマのアブシンベル神殿
あの、年に2回 (春分と秋分の日前後)に神殿へ朝日が差し込む奇跡の瞬間を再現
一度現地で生で見てみたいものです

ラムセス二世の偉大さをもっとも印象付けた世紀の闘い「カデシュの闘い」をプロジェクションマッピングで再現
古代エジプトと現在のトルコにあたるヒッタイト王国が戦った、歴史上初の公式な軍事記録が示され、世界初の講和条約が交わされた戦争だそう
映像は小さかったですが、立体的でなかなかリアルでした

プロジェクションマッピングのお隣が、王の墓室コーナー
小さい部屋でしたが、このエリアのすべての壁が、手触り感とか雰囲気とか、ホントの墓室みたいになってて、現地からわざわざ持ってきたのかと思いました
ちなみに、椅子があったので足休めできます

ツタンカーメンではないですが、「アメンエムオペの棺から出土した黄金マスク」の裏側
木製のマスクの上に金箔が貼られたマスク
マスクの裏側をマジマジと見られるなんて、めったにない機会ですよね(一応、ガラスケースに入ってますが横から見えます)

動物のミイラ・棺コーナーにて
これは「ネコのミイラの為の棺」
古代エジプトでは動物はとくに神聖視されてて、よくレリーフや像にも刻まれてますよね
ネコは、“バステト(猫)”で、 愛と豊穣を司る女神
というか、棺のデザインが可愛過ぎる

これは「プスセンネス一世の襟飾り」
プスセンネス一世とは、ラムセス大王が生きた新王国時代の次の時代、第3中間期における第21王朝の第3代ファラオ
ラムセス2世よりは300年以上あとのファラオで、 ツタンカーメンと並ぶ黄金マスクのファラオとして有名だそうです

こちらは、「プスセンネス1世のために再利用されたメルエンプタハの石棺の墓」
特筆すべきは、石棺の裏蓋に彫られた女神ヌト
納棺されたミイラと向かい合うように配置されているんだそうです
ファラオは死んでなお神とともにあるんですねぇ

古代エジプトの王家の棺といえば、姿が描かれた鮮やかな棺
こちらは、「彩色と金箔が施されたピネジェムの妻・ネシコンス王女の杉製外棺の蓋、イセトエムケブから接収されたもの」と「ピネジェム一世の内棺の蓋あるいはミイラボード」
古代エジプトでは王家の棺は再利用されることが多かったらしく、これらも別のファラオの棺から再利用された棺みたいです
にしても、鮮やかに残ってますよね

そしていよいよ、ラムセス大王展最大の目玉である「ラムセス二世の棺」
蓋部分と棺部分が一緒になって展示されるのは、日本では初だそうです
当時としては最高級とされたレバノン杉の一木造りで彫られた精巧な木棺で、とにかく木肌がなめらか、実に緻密に彫られてます
棺の上には、ラムセス2世を示すカルトゥーシュ(落款みたいなもの)と墓から棺の隠し場までの道のりが示された古代語が記されてます
これが3000年前のものとは到底思えません
ラムセス2世の墓は遠い昔に盗掘され尽くしたそうですが、棺だけは別場所に隠されていたので、こうして現代によみがえったそうです…

注目に値するのは、その横のモニターで再現されたラムセス2世の壮年期の顔と晩年の顔
とにかく目力がすごい
さすが史上最強のファラオ
市川海老蔵あらため市川團十郎白猿さんの目力に匹敵するぐらい
衝撃だったのはラムセス2世の本物のミイラ映像
映像とはいえ、写真に撮れちゃうのかとびっくり

ラムセス2世の木棺の次の間が、当展を締めくくるハイライト
「ラムセス2世巨像の上部」が中央に展示され、アスワンハイダムでかつて行われた世紀の移築作業、アブシンベル神殿の映像などが流されます
ここでギャラリーは終了です、お疲れ様でした

出口を出たところにはお土産コーナーと、人気のVR体験コーナーが
このVR、ラムセス2世の王妃ネフェルタリがナビゲーターになって、アブシンベル神殿や自身のネフェルタリの墓を案内するストーリーなのですが
映像の再現性がかなり忠実でスゴイ
もちろんゲームのRPG的な誇張演出もありますが、実際に訪れた人間からしてもリアル感がハンパない
とくにネフェルタリの墓は、現地では入場に1万円ぐらいかかるので、VRとはいえ、体験できるのはお得(こちらもかなり忠実に再現されてます)
VRなので360度見渡せます
でも、あんまり頭をぐるぐる回してあちこち見ていると、かなり酔いそうでした
なので、キョロキョロし過ぎるのは要注意
王妃ネフェルタリが実に豊満な胸とナイスバディで妖艶に描かれてます
最後に登場するラムセス2世も筋骨隆々とファラオの貫禄たっぷりです
途中、かなりホラーな演出があって、ホラー映画やお化け屋敷苦手な人はかなり要注意です
心臓にだいぶ悪い
体験はわずか10分程度ですが、想像以上に楽しめました

ちなみに、入場時に撮影してもらった撮影で、無料でアブシンベル神殿やピラミッドなどの背景と合成させた動画ダウンロードができるほか、出口に設置されたフォトパス機械で、さらに高画質な合成写真が作成できます(こちらは有料)
実際行くにはちょっと遠い…と思っている人には面白いサービスかもしれませんね
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わたしがエジプトを訪れたのは、ちょうどコロナパンデミックがはじまった頃
当時は中国から発生したコロナの影響で、アジア人と見るやいなや、「コロナコロナ」と声をかけられ、いやな思いをしました
まぁそれでも、コロナのおかげというか、観光客は少なめでじっくり博物館や遺跡を回れたのはケガの功名?でしたが
そんなエジプトは今、2020年当時のレートの3分の1にまで安くなってます
ここ5年で何が起こったのか…大エジプト博物館はなかなかグランドオープンしないし
当時、ネフェルタリの墓の入場料は日本円で1万円程でしたが、通貨安で3分の1になったのかな、いいなぁ~と思っていましたが、その辺はちゃんと現レートに合わせて上がってました
エジプト人の月の給料の3分の1に匹敵する超高額な入場料だったので、ガイドのチケットを持つ手が震えていたのをよく覚えてます
本ラムセス大王展は本場さながらの自由度と充実度でとっても満足でしたが、エジプト好きならぜひ、通貨安のこの機会に、今度は本場エジプトでホンモノの空気で見て欲しいです
おしまい
<All Photos by Mayumi>
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