■ スポット名:モーニング・グローリー(Morning Glory Cloud)
■ 訪問国地域:西オーストラリア、バークタウン Burketown, Queensland, Australia ※文中の情報は2016年10月現在のものです
<バークタウンの所在地>
1年の限られた時期、ある一定の気象条件がすべて満たされた時だけ現れる幻の巨大雲。
その雲に乗りたいと世界中からグライダーがこの時期集結し、今やグライダーの聖地と化しています。
オーストラリア北部、クイーンズランド州カーペンタリア湾に近い場所にあるバークタウン(Burktown)。
人口200人程度の小さな小さな片田舎の町で、
幻の巨大雲モーニング・グローリーの出現率がもっとも高いとされる、知る人ぞ知るスポットです。
まちにはびこるワラビーたち
あっちこちから湯水のごとく、ワラビーが出没します
オーストラリアではもはや日常の光景……というか、
もはや「かわいー♥」なんて言ってられないほど、あやつらの予測のつかない行動にウンザリ気味(特に運転中)
ここは、バークタウン唯一(?)の公立図書館
電波がすこぶる弱いバークタウンでは、唯一安定的に館内で無料パソコンが使えました(1台のみ)…暇なときは通ってましたね
滞在したバークタウン唯一のオートキャンプ場
当初は全泊車中泊するつもりでしたが、暑さと蚊に耐えきれず、ロッジに空きが出たので急遽連泊することに
ロッジには簡易キッチンや冷蔵庫、空調も付いていて、2段ベッドも完備
一人で泊まるには十分すぎるほど快適
しかも、世界一周の疲労が重なって突然倦怠感と熱も出たので、体休めにはちょうどよかったです
バークタウンの町外れにある飛行場
モーンニング・グローリーが現れたらすぐに出動できるように、プライベートセスナが何台も待機
モーニング・グローリーは夜明けとともに早朝の出現率が高いということで、
バークタウン滞在期間中は毎朝5時起き、5時半頃から遮るもののないまち外れの大草原で待機していました
バークタウン滞在予定は5日間
毎朝5時半頃草原に通い詰めては出現ならずで落胆してオートキャンプ場に帰る日々
そして滞在5日目、バークタウン最終日の朝、
諦めかけていたところに、太陽が昇る彼方から、棒状の雲が徐々に現れました
夜明け頃には、まだおぼろげで、形も多少ボコボコしてましたが
時間ととともに一本のなめらかな棒状の巨大雲に変化していきました
まさに、モーニング・グローリーがあらわれた瞬間!
まさか本当に、本当に出会えるとは!!
基本的に感情の起伏はそれほどない方ですが、
このときばかりは感情が高ぶって、ひとり大きくガッツポーズをしてしまいました
それぐらいこの奇跡に感動しました
モーニング・グローリーは、時間とともにより巨大化していきます
大きい時は全長1,000㎞、幅1㎞にもなり、上空100~200mを旋回しながら
最大風速・時速60㎞で北東から南西へ移動します
モーニング・グローリーが太陽を覆い、あたりが薄暗くなってきました
噂通り、上空でものすごい風が吹いています!
思わず、「龍の巣!(by ラピュタ)」と叫んでしまいました
ものすごい勢いで巨大雲が南下してきます
いよいよ自分の真上に迫ってきました!
その迫力、写真では伝わりにくいですが、恐ろしさと興奮で鳥肌立ちまくりです
自分の頭上に、あのモーニンググローリーが!!
大気が渦巻く轟音とともに、グルグル旋回しながら移動しています
実際、低気圧の塊なので、龍の巣のごとく、雲の中に取り込まれると機体はバラバラになるそうです
グライダーたちも命がけの娯楽を楽しんでいました
実際は何百メートルも上空のはずなのですが
あまりの大きさに手が届きそうです
というか、吸い込まれるんじゃないかと車にしがみつきながら
ただただ呆然と眺めていました
わたしがバークタウンに到着するのと入れ違いで、
日本人の一人旅の方が、やはりモーニング・グローリー目当てで訪れていて
その方は2週間滞在してたった1回だけ見られたそうです
そんな話を聞いていたので、半ば諦めていたのですが、諦めなくてよかったー!
信じる者は救われるー!
車の上に覆いかぶさるように動くモーニング・グローリー
こうしてみると、ホントに手が届きそうな距離を動いてますね
竜巻のように吸い込まれなくてよかったです…
モーニング・グローリーの発生条件は
毎年9~10月の間の、湿度が高く、かつ北東から風が吹くこと
なので毎日見られるわけではなく、不作の年に当たれば、数回程度しか見られない年もあるそうです
発生しやすいかどうかの情報は、まちのバー&レストランがグライダーのたまり場になっていて、そこで情報交換会が行われるそう
わたしの場合は、オートキャンプ場にたまたま滞在していた常連グライダーの方に運良く教えてもらえました
やがて、バークタウンの町全体に覆いかぶさるモーニング・グローリー
右後方にまちのクリニックの建物があるので、それと比較すると巨大さがわかりますね
モーニング・グローリーの通過後、ふとあたりを見渡すと、どこからともなく観光客がわらわらと出てきていました
遠目で目が合った女性から「ヤッタネ!」と親指を立てて互いの幸運をたたえあったのが思い出深い……
雲乗りたちも、飛行場からグライダーを飛ばしていました
やがてバークタウンを離れて、どんどん南下するモーニング・グローリー
しばらくすると、雲が二つに分裂していました。
オートキャンプ場をチェックアウトして、
追いかけるように車を走らせ、
やがてモーニング・グローリーは細かく分裂して、散り散りになり、普通の雲になっていきました
すっかり跡形もなくなった西オーストラリアの空
必ず見られるとは限らない幻の巨大雲モーニング・グローリー
自分の幸運をこのときほど神様に感謝したことはなかったです
心の底から感動で鳥肌立ったオーストラリアの1日でした
終わり
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最後までご覧いただきありがとうございました