Compathy Magazine

(公開日2017/3/13)

※Compathyサイト閉鎖に伴い、同サイトに寄稿した記事を転載したものです

 

009 シャー・チェラーグ廟 Shah Cheragh Shrine , Iran
まるで万華鏡!光の洪水が生み出す別世界「シャー・チェラーグ廟」

モスクといえば、人間業とは思えない緻密な幾何学模様と玉ねぎドームが特徴の壮麗な建築物というイメージですよね。これに加えて、万華鏡のような光りに包まれた光の王のモスクが世界に存在することをご存知ですか?

今回は、イランにある万華鏡の世界「シャー・チェラーグ廟」をご紹介します。

「光の王」の名を持つ、「シャー・チェラーグ廟」とは

006 シャー・チェラーグ廟 Shah Cheragh Shrine , Iran
光の洪水が渦巻く、異次元空間

イラン南西部、地方都市シラーズの中心地に位置する「シャー・チェラーグ廟」。

「シャー・チェラーグ」とはペルシア語で「光の王」を意味し、その名の通り、キラキラ輝く万華鏡のような鏡モザイクに覆われたモスクのこと。その姿は「世界一美しいモスク」とも称えられ、まるで神々の天上界が具現化されたような光の洪水が彩る美しき世界です。

「シャー・チェラーグ廟」が生まれた経緯

008 シャー・チェラーグ廟 Shah Cheragh Shrine , Iran
開いた口が塞がらない圧倒的な美しさ

この墓の主は、9世紀に亡くなったシーア派の一派、十二イマーム派の第7代イマーム(指導者)であるムーサー・カーズィムの息子、ムハンマドとアフマド兄弟。もともとは一般的なモスクでしたが、14世紀に入り、芸術をこよなく愛した、時の皇太后が巡礼者らを慰労するための場所として現在の姿に生まれ変わらせたといわれています。

計算され尽くした緻密な幾何学模様と意匠を凝らした鏡細工。アラーのおわす世界を余すことなく表現した、光の洪水の空間です。

「シャー・チェラーグ廟」は外国人も入れる?

011 シャー・チェラーグ廟 Shah Cheragh Shrine , Iran
天井と壁は撮影可能

入場無料かつ原則24時間開放されたシャー・チェラーグ廟。ただし、入場できるのは原則ムスリムのみ。

とはいえ、異教徒の外国人であっても入場を許可される場合があります。門番に相談し、本部から英語ができる案内役を派遣してもらいましょう。案内役が同伴であれば見学できるケースもあります。

すべての入口は厳格に男女別に分けられ、入場の際は、ボディチェックと荷物検査が行われます。また、女性は頭からつま先まですっぽり隠れるチャドルを身にまとう必要があり、外国人などには無料貸出されます。

さらに気になる写真撮影。モスク内は原則撮影禁止ですが、案内役が許可した範囲内であれば撮影可能となっています。ただし、ムスリムの女性を許可なく撮ることは厳禁ですのでご注意ください。

イラン入国における注意点

020 シャー・チェラーグ廟 Shah Cheragh Shrine , Iran
イラン入国アライバルビザ

イランといえば、テロリストと結び付けて危険な国という印象を持たれる方も少なくないですが、実際には、国境紛争地帯を除いて観光可能です。

とはいえ、世界最強の日本のパスポートを持ってしても、イラン入国には観光ビザが必要。事前に駐日イラン・イスラム共和国大使館にて取得も可能ですが、現地の主要空港で30日滞在可能のアライバルビザの取得も可能です。

ちなみに、今後米国訪問あるいはトランジットの予定のある方は注意が必要。

2016年1月よりビザ免除プログラムの改定およびテロリスト渡航防止法が施行されたことで、2011年3月1日以降にイラン、イラク、スーダン、シリア、リビア、ソマリア、またはイエメンに渡航または滞在したことがある者は、簡易ビザのESTAが無効となり、通常のUSA観光ビザの取得が義務付けられています。また、事前にビザを取得していても、入国審査の段階で別室送りの長時間拘束を受ける可能性が高いことも肝に銘じておく必要があります。

最後に

イラン国内はネット規制が敷かれ、FacebookなどのSNSにアクセスできず、またクレジットカードも使用不可となっています。さらに、女性の場合は外国人でもスカーフ着用と露出を控えた服装が強要され、英語がなかなか通じないなど、さまざまな制約と不便が強いられます。

しかし、それに変えても行く価値のある、魅力にあふれた国であることは間違いありません。

ぜひ今度、光あふれる光の王のモスクへ、イランという国を訪れてみませんか。

 

<All Photos by Mayumi>

 

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