(2022/2/12更新|2020/03/29作成)
2020年3月、長年の夢が叶いソコトラ島に訪問することができました
その時の経験を踏まえ、どこよりも詳しい「ソコトラ島ガイド」(2020年3月現在)としてまとめました
目次 Contents
ソコトラ島とは About Socotra
■所属領国 イエメン
■所在海域 インド洋
■首都 ハディボ(ハディブ)
■島面積 3,796km²(埼玉県とほぼ同じ大きさ)
■言語 ソコトリ(現地語)、アラビア語
■宗教 イスラム教(厳格なムスリム)
■人口 約5万人
■世界自然遺産に登録(2008年)⇒【世界遺産センター UNESCO World Heritage Center】
中東イエメン本土から約370kmの海上に浮かぶ絶海の孤島「ソコトラ島(ソコトラ諸島)」
太古の昔、アフリカ大陸から分断されたソコトラ島は島独自の進化を遂げ、生息する825種の植物のうち約4割が固有種といわれる
また鳥類や爬虫類などの生物にも固有種・絶滅危惧種が多数存在し、大型哺乳類がいないなど特異な生態系から「インド洋のガラパゴス」の異名を持つ
ソコトラ島のシンボル的存在である龍血樹やボトルツリーが広がる光景は、しばしば「(ドラゴンボールの)ナメック星みたい」と表現される
fa-arrow-circle-o-downその他の情報はこちらもご参照ください
イエメン領のソコトラ島は危険か?
紛争悪化が続くイエメン本土の影響で、ソコトラ島の危険度も「レベル4(退避勧告)」
しかし、現地ガイド曰く、イエメン本土とソコトラ島は行政自治区を分離しており、本土の内戦や軍事行動には相互不干渉の立場をとっているそうです
そのため、イエメンの不穏でダークなイメージとは一転してソコトラ島だけは戦争とは無縁の、また文明とも隔絶したような、平穏で穏やかでのんびりとした光景が広がっています(緊張感は一切感じられませんでした)
とはいえ、本土の内戦勃発の影響を受けて2015年以降、ソコトラ島も共に国境封鎖、観光は断絶されます
しかし、2018年後半、国営イエメン航空がカイロ-ソコトラ島便就航を復活
2019年からソコトラ島に限り、観光再開が正式にスタート……した矢先に世界のコロナパンデミックに飲み込まれ2020年4月以降、再び国境閉鎖(ただし、ソコトラ島時代はコロナ感染ゼロだとか)
2022年2月現在は各社現地ツアーが再開しているので、おそらく入国可能だと思われます
ソコトラ島 観光マップ Socotra Map
主な観光スポットは以下の通り
<主な観光スポット一覧 Scenic Spots list>- ディクサム高地 Dixam Plateau……龍血樹(ドラゴンブラッドツリー)群生地
- ワディ・ディルフル渓谷 Wadi Dirhur Valley……ボトルツリーやドラゴンブラッドツリーの群生地
- フィルヒン・フォレスト Firhin Forest……ドラゴンブラッドツリー最大の群生地
- ダグブ洞窟 Dagub Cave……ソコトラ島で2番目に大きな洞窟
- ザハク砂漠 Zahaq Sand Dune……ソコトラ島最大の白砂漠
- ホク洞窟 Hoq Cave……ソコトラ島最大の鍾乳洞
- ホムヒル・プール Homhil pool……天空のインフィニティ・プール
- シュアブ・ビーチ Shuab Beach……島でもっとも透明度の高いビーチ、イルカ生息地
- アリヘル・ビーチ Ariher Beach……白砂丘と夜光虫、カニが作った三角ビーチ
- ホムヒル自然保護区 Homhil Protected Area……ボトルツリーとドラゴンブラッドツリー群生地
- ディハムリ海洋自然保護区 Dihamri Marine Protected Area……サンゴ礁と夕景の名所
- デトワ・ラグーン自然保護区 Detwah Lagoon Ramsar Site……ソコトラ島随一のラグーン
- カランシアシティ Qalansiah……ソコトラ島の2番目に大きな町
- アオマック・ビーチ Aomak Beach……インド洋に面した遠浅のおだやかなビーチ
- ディレシアビーチ Delisha Beach……白砂丘と三角ビーチ
- ハギール連山 Haggier Mountains……ソコトラ島の最高峰(標高約1000m)
- ハディボシティ Hadibo City……ソコトラ島の首都
ソコトラ島の14の魅力
ここでは、実際に訪れて感じた、ソコトラ島の魅力をご紹介
1異次元な植物たち
しばしば、日本人の間では「ナメック星みたい」と表現されるほど、異世界の光景広がるソコトラ島
血のような樹液を持つ「龍血樹(ドラゴンブラッドツリー)」、「砂漠のバラ」とも称される「ボトルツリー」、乳香木で知られる「フラキンセンス」、世界で唯一のウリ科の樹木「キューカンバーツリー」など、地球外植物のようなユニークな姿をしたソコトラ固有種の植物が多数存在
2絶滅危惧種や固有種の宝庫
絶滅危惧種のエジプトハゲワシがカラス並にどこにでもたむろっている
また、ソコトラ島固有種の野鳥、トカゲ、ソコトラクモなども、割と普通にいる
3異世界感漂うビーチ
スナガニというソコトラ島固有の黄色のカニによって形づくられた無数の小さなピラミッドのビーチ
異世界感、ハンパない
4どこまでも果てしない白砂漠
ソコトラ島の沿岸地域に広がる広大な白砂漠
これ以外にも、少なくとも3箇所存在
5奇跡のような美しいラグーン
まるで奇跡のような美しさを誇るホワイトサンドのラグーン
遠浅のラグーンにはウニ、牡蠣、タコ、イカ、ホタテ、なまこ、ハリセンボンなど魚介類の宝庫となっている
6限りなく透明なブルーオーシャン
特にアラビア海に面したビーチがとびきり透明度高く美しい
モルディブやタヒチなどのリゾートアイランドの海にも匹敵する美しさ
ちなみに、もともと鮮やかなカラフルサンゴの海だったソコトラ島
2015年と2018年の巨大サイクロンによりサンゴ礁が壊滅的ダメージを受け、沿岸部はわずかながら残す状態(画像上)
ただし、沖合でダイビングに出ればキレイらしい(マンタにも会える)
7島中を埋め尽くすヤギ
ソコトラ島の人口より多いヤギ
本土のヤギに比べてからだが小さいのが特徴で、ソコトラ島の人々にとってヤギは家畜でありペットでもあり、全自動草刈機であり、「掃除クリーナー」
ペットボトル以外は何でも食べるため、掃除機代わりに重宝されている
ただし、龍血樹など貴重な植物の芽まで食べてしまうのが難点
8巨大鍾乳洞で地底探検
最延長3km、高さ50mにおよぶ巨大鍾乳洞で地底探検が楽しめる
この他にも2つ大きな洞窟がある
9天空のインフィニティ・プール
アラビア海を見下ろす山の上に、淡水の川から生まれた天空のインフィニティ・プールが存在
ちなみに、周囲は龍血樹とボトルツリー群生地で最高の絶景スポット
10奇岩の宝庫
最高峰ハギール連山をはじめ、グランドキャニオンのような広大な大峡谷やスケールの大きな奇岩地帯が広がる
11野生のイルカの群生地
アラビア海に面した海域には野生のイルカが多数生息(運がいいとボートのそばで泳いでくれるらしい)
12素朴でやさしいローカルの人々
ソコトラ島の住民は、大人も子どももみな、素朴でやさしく、親切で気さくで、陽気な人々が多い
男性は特にフェミニストで、女性に親切でやさしい(外国人だから特別ではなく、自国の女性に対しても)
そして、こどもたちは屈託ない笑顔で話しかけ、外国人にも興味津々
13海の幸が豊富で食べ放題
四方を海に囲まれたソコトラ島は、イエメン本土の人間も羨むほど、海の幸が豊富
漁業権とか特に規制がないので、外国人でもウニ、タコ、ホタテ、牡蠣、果てはロブスターまで素潜りで取り放題
海鮮好きには食の宝庫
14イエメンの文化に触れる
内戦状態が続き、観光とは程遠いイエメン本土
ソコトラ島では、そんなイエメンの文化的要素にふれることができる
ベストシーズン When to go
fa-check観光のベストシーズンは2~4月
参考情報
- 10~12月 Oct-Dec: ★☆☆ 雨季に突入し曇天続き。ただし、緑が美しい
- 12~01月 Dec-Jan: ★★☆ 晴天増えるが寒い。しかし緑が映える季節
- 02~03月 Feb-Mar: ★★★ もっとも気候が安定し波が穏やかで過ごしやすい。花の季節
- 04~05月 Apr-May: ★★☆ 海がもっとも美しい季節。乾季に向け気温が上昇し風が強くなる
- 06~09月 Jun-Sep: ☆☆☆ 乾季とともに強風吹き荒れ、蒸し暑く観光には不向き
ソコトラ島へのアクセス How to get
一般的な入国方法は空の便
ただし、ソコトラ島への直行便はなく、カイロ発セイユン経由が一般的
船は、ソマリア海域が近いので危険で、クルーズなどの催行はありません
1空路の場合 By Air
- 就航航空会社は国営イエメン航空のみ「カイロ-ソコトラ島(セイユン経由)」
┗ 毎週水曜日の週一便のみ(Every Wednesday weekly)
┗ 料金は往復US$1,116(手数料等込)※取扱旅行代理店によって異なる
┗ 航空券購入は旅行代理店を通じてのみ有効 ※2020年3月現在、オンラインでチケット購入不可(カイロ支店なら現地にて直接現金で購入可能、カード不可)
┗ 限定200席@週1便(小型飛行機のため)
参考:フライトスケジュール Flight Schedule
- (往路:Cairo to Socotra | YEMENIA IY 607)
カイロ Cairo 2:00am 発 ⇒ セイユン(本土)Seiyun, Yemen 6:30am 着
セイユン(本土)Seiyun 7:45am 発 ⇒ ソコトラ島 Socotra 8:45am 着 - (復路:Socotra to Cairo | YEMENIA IY 606)
ソコトラ島 Socotra 9:45am 発 ⇒ セイユン Seiyun 10:45am 着
セイユン Seiyun 11:45am 発 ⇒ カイロ Cairo 14:45着
※カイロとイエメンは時差1時間あるため、実質フライトは4時間程度
<ソコトラ島までの流れ>
1.カイロ国際空港第1ターミナルが出発ゲート
2.経由地セイユン到着後、航空機の清掃・メンテナンスのため、一旦全員降機(受託荷物もピックアップ)。最初にイエメン人、次に観光客の順
3.降機後、検温・健康チェック票の記入提出
4.待合室にて待機(おおむね1~2時間かそれ以上)
5.パスポート回収(入国審査ではない。再搭乗の際に返却)
6.ひたすら待機
7.メンテナンス完了後、再搭乗
※セイユンではイエメンビザの回収は無し
※セイユンの待合室はトイレ以外、何も無し(外出不可。お店もネットもないので、暇つぶしグッズ必要)
※飛行場内に待機中のイエメン軍用機の撮影OK
2海路の場合 By Ship
- オマーンの地方都市サララ港(Port of Salalah)からセメント貨物船がソコトラ島へ不定期に就航
- 月に1~2便程度
- 貨物船のため、サービスなく、不衛生、船の揺れがしんどい(らしい)
- 入国ビザは当然必要(事前に第三国の大使館で取得)
- 費用は抑えられるようですが、所要日数が4~5日かかるといわれ、いろんな意味でリスクが大きい
★海路からのスリリングな入国体験記はこちらが参考に⇒中東探検隊さん「陸がダメなら海から攻めろ!意外過ぎたイエメン入国法」
入国ビザについて Yemeni Visa
東京のイエメン共和国大使館では政府要請により観光ビザの発行は不可(2020年3月現在)
現地旅行代理店を通じてカイロにて代理申請してもらうことでVISA取得可能
参考情報
- 現地旅行代理店にてイエメンビザ取得後、メールにて画像受け取り
- 画像を最低2部プリントアウト(原本写しとして有効)しておく
- ソコトラ島空港にて原本写し回収、あるいは空港にて旅行会社より原本受け取ったら原本にスタンプ押してもらい半券回収(出国まで半券は大事に要保管)
ソコトラ島 旅のヒント Socotra Travel Tips
<持っていくと便利なもの Useful stuff>
- ウェットティッシュ……トイレは不衛生、洗面所は基本ない
- トイレットペーパー……ホテルですら付いてない、1~2ロールあると安心
- 日焼け止め……ビーチや砂丘は照り返しの紫外線が相当強い
- サングラス……照り返しが眩しい
- モバイルバッテリー……10,000mAh×2個あると安心(ソーラー充電機能付なら尚可)
- 車のシガーソケット用USBチャージャー……移動中は車内しか充電できる場所がない
- USBケーブル……2~3本あると便利
- 写真用メモリ……大容量欲しい(ホテルWiFiは爆遅なのでクラウド利用は絶望的)
- ヘッドランプ……夜間トイレに行くときなど活躍
- 三脚……星空撮りたければ絶対必要
- 防塵&クリーニンググッズ……砂漠で特に必要
- 防水バッグ……ボート乗船時やビーチを歩くとき便利
- 水着・タオル……海水浴するなら必携
- シュノーケリングセット……現地では基本レンタルはない
- 防寒着……春先でも朝晩はかなり冷え込む(ユニクロライトダウン2枚重ねでも寒い)
- 日本の食べ物……キャンプで披露すると人気者に(インスタントとか餅とかお菓子とか)
- チップ……最後に英語ガイドとドライバーへチップ忘れずに
<豆知識 Tips>
- ネットは首都ハディボのホテルWifiのみ(ただし絶望的に遅く、停電も頻発)
- 現地SIMカードの入手不可(Yemeni MobileかUAEの2社だが外国人への販売はなし)
┗ 移動先でネットが必要な際は、現地の方のSIMでデザリングさせてもらう - 両替は首都にある両替所一択(銀行レートのほぼ2倍、対応通貨はUS$かEUROのみ)
┗ ただし、ツアー中使うことはほぼない - クレジットカード利用不可
- ソコトラ女性の撮影厳禁(許可を得た場合のみOK、ただし一緒の自撮りはよく頼まれる)
- 植物の島外持出し禁止(お土産の龍血樹樹液(サップ)はOK)
- 公共の場での飲酒禁止(キャンプなどでの持ち込みはOK)
- 生水の飲用は絶対NG(お腹くだす可能性大)
- ホテルのホットシャワーは絶望的(明るいうちに水シャワー浴びるべし)
- ソコトラ島男性から一緒の自撮り要求激しい(特に女性外国人観光客)
- ソコトラ島では全ての人・モノにリスペクトをもって接すること
現地ツアーの概要 Socotra Tour Itinerary Sample
ご参考までに、筆者が利用したツアーの概要をご紹介
大体どこも、ソコトラ島に入ってしまえば訪問先は似たりよったりらしい
※今回は昔から多くの日本人観光客を扱う「Happy Travel to Yemen」を利用
※ツアー会社によって訪れる順番や訪問スポット数が異なる
※ツアー会社によってホテル&キャンプの1日交互の宿泊ミックスもあります(料金割高)
【ツアー概要】
- 滞在日数: 7泊8日 ※これは飛行機が週一便なので必然的にそうなる
- 滞在内容: ホテル(首都)2泊+キャンプテント5泊
- 移動手段: TOYOTAランクル
- 主なアクティビティ: トレッキング、砂丘散策、洞窟探検、海水浴、シュノーケリングなど
【詳細 Itinerary detail】
- DAY1(Wed) Cairo to Socotra, Hadibo, Delisha Beach:Hotel in Hadibo(白砂丘)
- DAY2(Thu) Dixam Plateau, Wadi Dirhur Valley, Firhin Forest:Camp in Darho village(龍血樹、ボトルツリー群生地)
- DAY3(Fri) Degub Cave, Aomach Beach, Zahaq Sand Dune:Camp in Darho village(洞窟見学、海水浴)
- DAY4(Sat) Qalansiah, Detwah Lagoon Ramsar Site: Camp in Detwah Lagoon(洞窟おじさんの洞窟で海鮮料理のおもてなしと牡蠣うにタコ漁に同行)
- DAY5(Sun) Qalansiah, Shuab Beach, Dihamri marine protected area:Camp in Dihamri(鳥の巣洞窟おじさん家見学、海水浴可)
- DAY6(Mon) Hoq Cave, Ariher Beach, Erisal Village:Camp in Ariher Beach(鍾乳洞探検、白砂丘、海水浴可)
- DAY7(Tue) Homhil pool, Homhil Protected Area, Hadibu:Hotel in Hadibu(インフィニティプール、龍血樹、町散策)
- DAY8(Wed) Socotra back to Cairo
【ツアーに含まれるもの Including the tour】
- Car 4WD and airport transfer(空港送迎、ドライバー)
- All transportation in Socotra(ツアー中の全ての移動)
- A Local English speaking guide(現地英語ガイド)
- All sightseeing activities as specified(基本的な現地アクティビティへの参加)
- Accommodations Socotra tourist Hotel for 2days in Hadibo(首都ハディボでのホテル滞在2泊分)
- Entrance and camping fees in protected areas(保護区における入場料およびキャンプ使用料)
- Camping equipment(個人テント、マットレス、毛布支給)
- Food (full board) with sufficient of bottled water(3食付+ティータイム+ミネラルウォーター随時)
- Cave Local guide of Hoq Cave and Homhil Pool(洞窟探検やインフィニティプールへのローカルガイド料)
- Socotra folk museum entrance fees(民族博物館入場料)
- Boat ride to Shoub beach(シュアブビーチでのボート乗船料)
【参考:ツアー料金他社比較】
※2019年11月現在
※イエメン航空券代、ビザ取得費用、その他諸費用含む
会社名 Travel Company | 料金 Price | 所要日数 Total Nights |
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Happy Travel to Yemen | US$2616 | 7泊8日(7N8D) |
One Stop 4 Ward | US$4,249 | 10泊11日(10N11D) |
The Adventures of Nicole | US$3,950 | 7泊8日(7N8D) |
Young Pioneer Tours | US$1,537 ※別途航空券代 | 8泊9日(8N9D) |
LUPINE TRAVEL | US$3,330 | 7泊8日(7N8D) |
Special Destinations | US$3,630 | 7泊8日(7N8D) |
2022年は各社ともに料金改定しているようです(おおむね値上がっている)
最新情報は各社HPをご参照ください
また、「Socotra Tour」で検索すれば、他にも多数、ツアー取り扱い会社がヒットします(2019年当時に比べて増えています)
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以上、参考になれば幸いです
長々とご成長ありがとうございました