たくさんの野生のイルカと一緒に泳げる夢のような島・御蔵島(みくらじま)
でも、ドルフィンスイムを語る前に立ちはだかる最大の難関が「上陸できる否か」
断崖絶壁に囲まれ、桟橋が1コしかない御蔵島は、波浪の影響を受けやすく、ちょっとでも時化れば即欠航
なので、東海汽船の御蔵島行は「条件付き就航(※)」がほぼデフォルト状態
※「条件付き就航」とは海況次第で接岸可否を判断すること。接岸不可と判断された場合は次の島(八丈島)で降りるか、そのまま東京に戻るかとなる
休みを確保し、宿も確保し、どれだけ事前に準備万端整えても当日海が荒れたら無念の即アウト
御蔵島愛好者にとって最大の関心事項は船の就航率だったりします
そんなわけで、来島スケジュールの参考にすべく、就航率と上陸について考察してみました
東海汽船の運行スケジュール
まずは、そもそもの御蔵島への就航便数を確認します(参考:東海汽船HP)
御蔵島への便は、
- 東京発(22:30)⇒御蔵島着(翌6:00)
- 八丈島発(9:40)⇒御蔵島着(12:30)
の1日2便となります
<①東京竹芝発⇒八丈島行きスケジュール>運行日 | 毎日 | |
東京 | 発 | 22:30 |
三宅島 | 着 | 翌5:00 |
発 | 5:10 | |
御蔵島 | 着 | 6:00 |
発 | 6:05 | |
八丈島 | 着 | 8:55 |
<②八丈島発⇒東京竹芝行きスケジュール>
運行日 | 毎日 | |
八丈島 | 発 | 9:40 |
御蔵島 | 着 | 12:30 |
発 | 12:35 | |
三宅島 | 着 | 13:25 |
発 | 13:35 | |
東京 | 着 | 19:40 |
(出典:東海汽船HP)
※八丈島発で7/18、8/7・11~16のみ、大島に就航(16:10着、16:20発)。この場合、東京着は20:45
※7/18、8/7・11~16大島発、東京行き高速ジェット船に乗り換え可能
御蔵島の就航率(接岸率)
以下のデータは、2017年1月1日~2022年7月30日現在までの御蔵島の就航記録を月別に集計したものです
ちなみに、御蔵島のドルフィンスイムは、東京都版エコツーリズムの規定により、実施期間を【3月15日~11月15日】と定められています
(とはいえ、コロナ禍などの社会情勢、天候、受入れ体制の状況により、開始及び終了時期は流動的なようです)
そのため、ドルフィンスイムに限ってみれば、3月~11月のデータを中心に御覧ください
東京発⇒御蔵島着(午前便) 就航率 グラフ&データ表
東京発(22:30)⇒御蔵島着(翌6:00)
※青字は就航率70%を超える月を示しています
八丈島発⇒御蔵島着(午後便) 就航率 グラフ&データ表
八丈島発(9:40)⇒御蔵島着(12:30)
※青字は就航率70%を超える月を示しています
(データ参考:みくらしま観光案内所「東海汽船運航状況」)
就航率(接岸率)からわかる主な傾向
集計結果に基づき、就航率からみえる傾向は以下の通りとなりました
- 5月、7~8月がもっとも安定の8割前後……確実性を求めるならこの時期
- 6月は7割とやや安定……ただし、梅雨前線の影響等で左右されやすい
- 4月、9月は6~7割前後……季節の変わり目で大気不安定
- 11月は意外にも6割前後……本格的な冬突入前の嵐の前の静けさ
- 3月、10月は5割前後……台風、秋雨前線に左右されやすい、一か八か
- 12月~2月は2~3割……もはや絶望的
- 全体を通して、午後便(八丈島発⇒御蔵島着)の方が就航率が高め
※2021年のように、その年の天候次第でイレギュラーな動きになる場合もあります
就航率だけみると、どうしても安定した夏に偏ってしまいますね
結局、御蔵島はいつ訪れるべきか?
宿確保の争奪戦と大混雑をいとわなければ、やはり就航率が安定する夏(7~8月)がベスト
とはいえ、多い時では20~30隻ものボートが出航するともいわれる大渋滞の海では、肝心のイルカが人に飽きて近寄ってきてくれなかったり、小さな群れしか現れなかったりとデメリット多数
そのため、イルカともっとゆっくり触れ合いたい、たくさんの群れに会いたい、いい写真・動画撮りたい、といった方には穴場のシーズンが推奨されています
地元民がおすすめする穴場のシーズン
現地ガイドさんや観光協会の方からおすすめされた穴場のシーズンは以下の通り
- 平日
┗ 【メリット】人(船)が少なく、イルカがヒトに興味を持って近づいてくれたり遊んでくれる可能性高い
┗ 【デメリット】お休みが取りにくい - 4~6月、9~10月のややオフシーズン
┗ 【メリット】混雑が少ない、少人数でエントリー楽しめる、宿の確保が比較的しやすい、東海汽船の運賃がオンシーズンに比べて安い
┗ 【デメリット】就航率が5~7割、春はまだ水が冷たく、秋は船上の風が寒い、島に上陸できてもツアー出航(内容)はその日の海況次第、春先や秋の台風後は"海の濁り"が強いことがある
ちなみに、秋に過去2回訪れた経験則から申し上げると、
(良かったこと)- 10月は「村営ふれあい広場 バンガロー施設」ほか民宿も、2~3ヶ月前でも少人数なら空いてることが多く、宿を確保しやすかった
- ツアーは常に少人数(最大6人程度)なので、大きなイルカの群れに出会えたり、イルカがたくさん寄ってきてくれた
- 東海汽船の運賃がオンシーズンから約17%安く、インターネット予約割引でさらに20%割引とかなりお得
- 海風が寒くからだが冷えますが(水の中の方がむしろ温かい)、防寒ジャケットを貸してくれたので特に問題なし
(残念だったこと)
- ところどころ海の濁りがすごく、透明度が悪かった(←これは台風の影響らしい)
- 海況が不安定で、通常島一周のところ、島半周で終わった
- 波で揺れて、酔いやすい(←酔い止め薬でなんとかセーフ)
- 海況予報が急遽悪化に変わり、滞在2泊が1泊になり、ドルフィンスイムが3回⇒2回になった
といった感じでした
参考:御蔵島来島計画の参考指標など
就航率以外にも、御蔵島来島計画の参考になりそうな各指標・情報をまとめてみました
具体的な数値を見た方がイメージ湧きやすいと思うので、是非判断材料の一つにして、よりよい御蔵島来島計画を立ててください
ちなみに、見るポイントは、
- 船の就航率⇒確実性を取るか、就航率を妥協しても空いてる時期を狙うか
- 来島者数⇒人の多さ=デメリット多だがそれでも確実性を取るか、人少なめの時期で余裕のある計画を立てるか
- 平均気温・水温⇒寒い時期はウェットスーツなどの防寒対策(⇒追加コストの可能性念頭)
- 平均風速⇒船およびツアーボートの欠航率にも左右
- 東海汽船の運賃⇒高くても確実性を取るか、オトクに訪れて浮いた予算を別に回すか
などなど
<御蔵島の就航率・来島者数・平均気温・平均水温・体感温度・平均風速・宿予約状況>
※各就航率・来島者数・平均気温・平均風速は、コロナ禍以前を考慮して、2018年のものを採用(参考:「広報みくら」より集計)
※平均水温は「東京都島しょ農林水産総合センター>定地水温」よりデータが揃っていた2020年のものを採用
※体感温度と宿の予約状況は各種情報(と体験)を基に推計
<東海汽船 東京-御蔵島の月別運賃表一覧>
※引用は「東海汽船>運賃表」に基づき集計(ただし、1月~10月分は2022年版、11月~12月は2021年版から採用)
※上記運賃は大人片道金額で、消費税、燃料油価格変動調整金を含む
※「早期割引」の場合、上記価格から通常期20%割引、繁忙期15%割引(対象:全等級)
※「インターネット割引」の場合、上記価格から通常期20%割引、繁忙期15%割引(対象:大型客船の特等、特1等和室を除く全等級)
ヘリコプター「東京愛らんどシャトル」での上陸
海がダメなら空から……という最終手段もあります
東邦航空の定員9人乗りヘリコプター「東京愛らんどシャトル」が毎日運航されています
前述の集計表のとおり、ヘリの就航率は9割以上、ほぼ確実です
<引用:東邦航空HP>
■ 就航機材:シコルスキーS76C+型/S76C++型(米国製)
■ 定員:9名
■ 手荷物:一人1個5㎏まで(縦25㎝✕横 40㎝✕厚み 20㎝)※5kgを超過する場合、超過料金上乗せ
■ 座席指定:なし(早いもの勝ち)
(引用:東邦航空HP)
路線・発着時刻 | 搭乗受付時間 | 片道運賃 大人(満12歳以上) |
片道運賃 小人(満3~満11歳) |
超過手荷物料金 (1kg毎) |
|
---|---|---|---|---|---|
21便 | 八丈島 発10:25 御蔵島 着10:50 |
09:35 から 09:55 まで |
12,820円 | 8,980円 | 260円 |
32便 | 三宅島 発15:20 御蔵島 着15:30 |
14:30 から 14:50 まで |
5,870円 | 4,110円 | 120円 |
※東京伊豆諸島在住者は島民割引40%OFF
ただし、空路を利用する場合は上記料金に加え、八丈島あるいは三宅島まで空なり船なりで移動する必要があります
なので、金銭的には余裕があるけどスケジュールには余裕がない、でもどうしても確実に行きたい!といった方にはおすすめ
とはいえ、仮にヘリで上陸できても、ドルフィンスイムができるかどうかは結局当日判断なので、つまるところ、運次第には変わりはないんですよね…
奥の手:三宅島から御蔵島ドルフィンスイム
わずか18kmの距離にあるお隣の島、三宅島
そのため、奥の手として、三宅島発の御蔵島ドルフィンスイムに参加可能です

<三宅島ドルフィンスイムのメリット>
- 三宅島には3つの港(三池港、錆が浜港、伊ヶ谷港)があり、海況に応じて港を選べるため就航率がはるかに高い ※ただし、荒天のときは条件付き就航も有り
- 御蔵島よりはるかに宿泊施設が多く、宿の確保が容易
- ドルフィンスイム取扱ショップは7軒ほどある
- ドルフィンスイムとセットでほかの三宅島マリンアクティビティが楽しめる(ダイビング、釣りなど)
<三宅島ドルフィンスイムのデメリット>
- 御蔵島に比べて料金がかなり割高(御蔵島相場1回8500円 vs 三宅島相場15,400円、別途、初心者講習代やレンタル器材等)
- 毎日実施しているわけではない
- ツアー所要時間はおおむね3時間半~4時間程度、うち御蔵島への移動が片道40分かかるため、ドルフィンスイムの実質時間が少ない
- 1日最大2回(午前/午後)できないことが多い(時間的にと体力的に)
- 三宅島から出航できるボート数が少ない(東京都版エコツーリズムにより、三宅島からは15隻、御蔵島からは20隻と規定)
- シュノーケリング初心者はNGの場合が多い(有料講習受ければ可となる場合も)
- ウェットスーツ着用必須の場合が多い(御蔵島では特に制限無し)
以上を考慮すると、三宅島観光のついでなら良いですが、ドルフィンスイムだけが目的の場合は、やはり御蔵島一択が良いかと思われます
おまけ:東京 利島でもドルフィンスイム
実は、東京伊豆諸島の一つ、利島(としま)でもドルフィン・スイムができます
東京竹芝から高速船ジェットホイルで約2時間20分と、都内からもっとも近い、野生のイルカとふれあえる島として知られています

利島のドルフィンスイムの特徴は、
- 利島に生息するイルカはおよそ20頭(2家族が生息)
- 利島のイルカは周辺の無人島と行き来しているため遭遇率はそれほど高くない(ただし、会えたら人懐っこいとのこと)
- ドルフィンスイムの所要時間は1回90分(移動時間含む)
- 料金は1回5,000円~8,800円程度(ショップによる)
- 取扱いショップ・民宿は全部で5軒のみ
- 小学生でも参加可(ただし、親同伴やシュノーケリング経験など条件あり)
など
東京伊豆諸島でドルフィンスイムというと、どうしても御蔵島に流れがちなので、利島のドルフィンスイムは結構穴場
オンシーズンでも比較的空きがあるようです
また、11月は穴場で、出会えたらイルカたちも人懐っこく遊んでくれるそうです
東京から利島へはジェットボイルが1日1便(8:00発⇒10:19着)、大型客船は1日1便(23:00発⇒6:35着)の計2便
ジェットボイルの場合、利島16:00発⇒東京18:25着に乗れば日帰りできてしまうのが最大のメリットですね
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以上、御蔵島への就航率と上陸とドルフィンスイムに関する一考察でした
参考になれば嬉しいです