(公開日2017/11/14)
※Compathyサイト閉鎖に伴い、同サイトに寄稿した記事を転載したものです

こんにちは、Compathy MagazineライターのMayumiです。
「微笑みの国・タイ」。そんなやさしさあふれる仏教国タイには、「仏の顔も三度」を過ぎたら落とされる阿鼻叫喚の地獄を具現化した寺が意外に多く存在します。今回はその中でも最恐でカオスな地獄寺「ワット・パイロンウア」をご紹介します。
※記事内に一部、刺激的な写真が含まれていますのでご注意下さい。
バンコク郊外にある通称“地獄寺”「ワット・パイロンウア」
敬虔な仏教国であるバンコクのお寺には、仏教の世界観を具現化したものが少なくありません。
つまり、ブッダのおわす極楽、我々人間が暮らす現世(うつしよ)、そして罪悪を犯した者が落とされる地獄の世界です。
その世界を強烈に具現化したお寺が、バンコク郊外のスパンブリ県にある通称「地獄寺」、「ワット・パイロンウア(Wat Phai Rong Wua)」です。
「極楽ゾーン」は巨大なブッダ像がお出迎え
ワット・パイロンウアはかなり広いエリアです。ゲートをくぐり、しばらく進むとまず目に飛び込んでくるのが青空に映える巨大なブッダ。
横幅約10m、高さ約26m、ブロンズでできたブッダとしては世界最大級と言われ、その大仏を中心に多くの黄金の菩薩像が鎮座し、仏塔、法輪、仏の説法を聞く僧侶たちの人形などが所狭しと配置されています。
すでにこの辺りから怪しげ香りが漂っていなくもないですが、ひとまずここまでは割と普通のタイのお寺といった感じです。
現世ゾーンからだんだん怪しくカオスな内容に
極楽ゾーンと地獄ゾーンの間には、人間の業を具現化したような現世ゾーンが広がります。
仏の道に外れた行為、つまり「こんなことをしたら地獄に落とされますよ」と暗示したようなわかりやすい内容もあれば、ありったけの想像力を働かせても制作者の意図がつかめない、不可解な情景も数多く転がっています。
もはや意味不明で、頭がおいつきません。
こんな状態で、続いて地獄ゾーンへと進みます。
いよいよ本題の地獄ゾーン!要閲覧注意です!
極楽と現世ゾーンから、道路を挟んだ向こう側(三途の川?)に地獄ゾーンが広がっています。
入口には首根っこをつかまれた亡者とドクロの杖をたずさえた巨大な地獄の門番が仁王立ちして、わたしたちを見下ろします。
もう嫌な予感しかしません。
入口に入るとすぐにお布施を奉納する建物があります。
ここで気持ち程度のお布施を払うと、僧侶からハスの花と金箔数枚が手渡されます(お布施は任意)。
金箔の貼られた仏像にハスの花を添え、自分の金箔を貼ってお参りをします。ここでまずは穢れを祓い、身を清めるのかもしれません。
そして、次の瞬間から目を覆うような魑魅魍魎、阿鼻叫喚の地獄絵図が広がり、わたしたちを恐怖のどん底に陥れます。
曲がりになりにもここはお寺ですが、ありとあらゆる罪業をあらわした、むごたらしくもおぞましい地獄の世界が広がっています。
子どもにも分かりやすいようにデフォルメされているとはいえ、もはやただのホラーにしか見えなくなってきます。
僧侶や寺のスタッフ、観光客もちらほらいますが、どことなく空気はヒンヤリして自然と鳥肌が立ってきます。
いかなる現世の悪行も地獄で裁かれ、「悪いことをすると地獄でこんなひどい目に遭うよ」というむごたらしい有様が、強烈なインパクトで表現されています。
ユーモアが感じられるものもありますが、多くは「いったいどんな罪を犯したの?」と思いたくなるようなものばかりです。
地獄ゾーンの中央には10mはあろうかという巨大な男女の餓鬼が立っています。その前には、閻魔大王らしき役人が地獄の沙汰を行っているのでしょうか。足元には、おびただしい数のドクロが転がっています。
このような感じで、広い寺の敷地内には、所狭しと魑魅魍魎・阿鼻叫喚の地獄絵図が描かれ、グロテスクともホラーと言える、実に奇妙で不可解な光景を目にすることができます。
興味深いのは、タイの人々はファミリーで訪れていることが多いこと。親としては人生の教訓を言葉で教えるより、百聞は一見に如かずで、その目で見てしっかり感じ取れといわんばかりの、いわば生きた教育の場としてここへ連れてくるのかもしれないですね。
おわりに
敬虔な仏教徒のタイ人。
「ほほえみの国・タイ」のやさしさは、「徳を積む」という善い行いを是とする以上に、もしかすると「悪い行いをしてあんな地獄に行きたくない」という意識の表れなのかもしれないですね。
タイで黄金に輝くお寺巡りも良いですが、たまには趣向を変えて、各地に散らばる地獄寺めぐりもいかがでしょう。
地獄絵図から何か学びがあるかもしれないですよ。
ワットパイロンウアですが
タイにはもっとたくさんの
これに類する地獄寺が存在するそう
タイの仏教観は
天国と地獄を一対で表現する
それがルールでありセオリーなのかも
日本人は割と臭いものにはふたをして
いいもの(天国)だけを表面的に見せて
モチベーション上げようとしますが
タイは逆に
悪い行いによる因果応報を小さいころから
地獄寺通じて刷り込んでいるからこそ
自らを律して日々を楽しんでいるのかな
とはいえ、
あの地獄寺の表現はあまりにもやばすぎる
制作者は自分の想像だけで
あれを作っているのだとしたら
あまりにもクレイジーで
ひょっとして気がふれているんじゃないかと
心配してしまうレベル
是非あまり怖くない昼間に訪れてみてください
終わり
<All Photos by Mayumi>