【訪問場所 Visited Site】中国湖北省荊州市 Jīngzhōu, Hunan, China
※文中の料金・情報は2017年6月現在のものです
【お知らせ】この巨大関羽像は違法建築で訴えられ、2021年に荊州から撤去されたそうです。今後は、荊州郊外の点将台に移設予定とのこと
『三国志』では、向かうところ敵なし、忠義に厚い武神であり商売の神様である「関羽」
関羽ゆかりの地でもある湖北省荊州市は、三国志の史跡も数多く存在する歴史的な要衝
その地に2016年6月、約58mもある超かっこいい巨大関羽像が建設されたとニュースで見て、さっそく完成間もない関羽像を見学してきました!
成田空港から武漢空港へ
春秋航空で約4時間
今回の目的地、荊州市への玄関口となる中国湖南省の経済都市・武漢市(Wuhan City)にある武漢空港へ到着
到着ロビーにて
さて、ここからさらに鉄道の移動拠点となる漢口鉄道駅を目指します
漢口鉄道駅へ行くために、まずは空港最寄りの地下鉄駅「天河空港駅」へ向かいます
2016年に開通したばかりの地下鉄2号線の新駅ですが、なぜか空港直結ではなく、遠く離れた場所に建設
そのため、無料空港シャトルバスで移動します
地下鉄駅・天河空港駅に到着
バスでおよそ5分ほどで地下鉄2号線の最寄り駅「天河空港駅」に到着
ほんと、なんで空港直結にしなかったのかふしぎ…とても不便です
エスカレーターと地下通路を下って改札へ向かいます
券売機にて、漢口鉄道駅行きチケットを購入
わずか5元(約80円)!安っ!
地下鉄は入場トークン制
ICチップ入のトークンを所定の位置にかざして入場します
駅舎はできたばかりなのでキレイ
しかし、中国ではどんな公共交通機関にしても、必ず乗る前に、入場口にて赤外線の荷物チェックがあるので非常に面倒くさい
地下鉄ホームにて
日本の地下鉄と全然変わらんですね(むしろ日本よりもホームドアが厳重で安全)
漢口鉄道駅に到着
天河空港駅から約30分で漢口鉄道駅に到着
わずか80円で30分先の駅に着けるって、やはり中国の鉄道はハイコスパ
ちなみに、漢口鉄道駅は各地をつなぐ高速鉄道の拠点となります
駅舎が欧州の近代建築みたいですよね
案内板に従って、漢口鉄道駅(火车站)の高速鉄道チケット売り場へ向かいます
地下でだいぶさまよった後、なんとか地上に出られました
中国も日本に負けず劣らず、地上へのルートが複雑なところもあります
いかにも中国っぽい、赤文字ネオンが輝く電光掲示板のチケット売り場
長い列に並んで、窓口にてCtripで事前に購入しておいたチケットを受け取ります
中国人なら自動券売機で受け取れるようですが、このとき外国人は未対応
とはいえ、外国人でもカード決済でCtripでチケットが予約できるように成ったのでだいぶラクになりました
高速鉄道のセキュリティチェックは地下鉄以上にものものしい警備
まず外国人向けの列に並んでパスポートチェック、それから荷物のセキュリティチェックと続きます
それらをクリアして、晴れて駅構内へ入場!
相変わらず無駄に待合エリアが広い
目的の列車が到着した時点で、ようやく改札に並ぶことが許されます(それまではひたすら待機)
改札で再度チケットチェックがあって、晴れて改札を通過できます
改札入れても、歩道橋があったり長いエスカレーターがあったりで、なかなかホームにたどり着けないのは中国鉄道あるある
今回搭乗するのは高鉄の「和諧号」
ほぼ日本の新幹線です
乗り心地はかなり快適です
荊州駅に到着
漢口鉄道駅からおよそ約1時間半で荊州駅に到着
中国の駅は、どんなに辺鄙な地方都市でも駅舎だけはやたらと立派
しかし、それに中身がまったく伴わない
公衆トイレは相変わらず貧相で売店もなく、エレベーターやエスカレーターもない……
荊州駅前も閑散として何もない
ホテルがポツポツとあった程度
正規タクシーの乗り場が見当たらず、白タク運ちゃんに捕まってしまい、今回は時間がなかったので、関羽像まで片道40元(約650円)で交渉成立
いよいよ巨大関羽像とご対面
巨大関羽像が設置されたのは、2016年6月にオープンした「関公義園」というテーマパークの敷地内
荊州駅に到着したのはすでに午後17時半を回って、さらにそこからタクシーで30分かかったので、関公義園到着時にはすでに18時を大きく回っていて、当然テーマパークは営業終了……ガーン
運ちゃんが気を利かせて、像の見えるところへ移動してくれました
待ちに待った関羽様とご対面!
めっちゃカッコイイィ!
テーマパークとお堀をはさんだ広場から拝むことができました
この関羽像は純青銅製で4,000個のパーツを組み合わせてできており、
全長57.3m、なんと19階建てマンションに匹敵する高さ
関羽が手に持つ青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)だけでも長さ70m、総重量に至っては1,320トンに及び、総工費は1億7290万元(約29億4000万円)と、さすが中国、金儲けに掛ける情熱はえげつない
これは中国人の人気アーティストによるデザインらしく、
従来の関羽像とは一線を画す、横山三国志寄りのクールで威厳にあふれた、超かっこいい関羽像です
こんなに躍動感あふれる巨像は、モンゴルのチンギス・ハーン騎馬像以来です
これでも、当初はギネス新記録を狙って高さ88mにしようとしていたというから、スゴイ(史跡に近い建築物ということを配慮して控えめにしたそうです)
とにかくデカくてインパクトのあるものが大好物な中国人らしい発想
ちなみに、
関公義園テーマパークの周囲にはお堀が張り巡らされ、市民の憩いの場になっています
こちらは入場無料なので、巨像だけ見るならあえてテーマパークに入場しなくてもここだけでも十分楽しめます
荊州古城も観光
関羽像を見物した後は、次の鉄道発車時刻まで少し時間があったので、運ちゃんのススメで荊州随一の観光スポット「荊州古城」へ連れて行ってもらいました
荊州は三国時代にとって欠かせない要衝
関羽が主君の劉備の命で最期に護っていた都市でもありますよね
ちなみに、古城内の観覧は無料、市民の憩いの場になっています
この石の城壁は高さ9m、幅10m、全長10km
創建は春秋戦国時代後期(紀元前200年頃)で、明代(15~17世紀)に再建され、清代(17~20世紀)に重建されたものだそうです
関羽がこの地に立っていたかと想像すると、感慨深いですね
三国時代は今から1800年も前の紀元200年代の話
エジプトのピラミッドもそうですが、現代のように便利な機械なんてない時代、人の手と知恵だけでこれだけのものを作り上げてしまう古代人の技術と労力には毎度感心させられます
荊州古城には6つの城門が設置され、長江の洪水に供えて水門を閉じる仕掛けがほどこされていたそうです
紀元200年の古代中国において、そこまで進んだ建築技術があったことに感動します
日本なんてまだ稲作を開始した弥生時代の、邪馬台国が起こったかどうかぐらいの時代じゃないですか…
本当は城壁の上を登れるのですが、まぁ当然、閉まっていましたね
とりあえず、三国志の世界観にちょっと浸れて満足しました
ちなみに、この近くには荊州関帝廟もあります
関羽は商売の神様でもあるので、日本を含め世界各地に関帝廟がありますよね
とはいえ、その土地によって関羽像やお堂の作りは様々で、荊州の場合、割と地味みたいです
また、少し足を延ばした先に、あの映画「レッドクリフ」でもおなじみの「赤壁の戦い」があったと伝えられる赤壁古戦場があります
荊州駅へ戻ります
そして荊州駅へ帰着
白タクの運ちゃんにはなんだかんだと親切にしてもらったので、40元×往復で80元(約1,300円)支払いました
2時間もタクシーを拘束して1300円なんて日本からすれば激安ですが、中国人(特に地方)ドライバーにすると良いお金なんですよねぇ
荊州駅からは再び高鐵に乗って、宜昌市に向かいます
そして、ふと正面左を眺めると、正規のタクシー乗り場がありました…ガッカリ
正規のメータータクシーの方が格段に安いし、それでいて変なインチキするドライバーが少ないので比較的安心です
今度はちゃんと正規タクシーを利用しよう
というわけで、荊州はほんの2時間だけの滞在でしたが、楽しめました
おしまい
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<後日談 on Aug 2022>
冒頭でも申し上げたように、
2016年、総工費約29億円(すべて公費)で完成したこの世界最大級の関羽像は、以前から中国共産党中央部から「大きすぎる」と指摘され、いよいよ2020年、違法建築として摘発されてしまいました
中国における史跡保護区内での建築基準は、全高最大24m以下にしなければならないそうですが、当関羽像の場合、その基準をごまかすために台座である2階建て分ぐらいの博物館の高さを申請していたそうです
やることエグいなぁ
悪びれもせず申請してのけた建設業者もワルですが、それをみすみす見逃して承認してしまった市当局にも非難が集まっているそう
2022年6月現在ではすっかり撤去され、現在移設待ちのようですが、移設予定地である荊州郊外といわれる「点将台」が、一体どこの点将台か、イマイチ不明瞭です
「建設から解体・移設まで総額約3億2800万元(約55億円)もの公費が消えることになり、中国共産党の中央規律検査委員会は6日、「巨大像の教訓は深刻だ」と批判した。」とのこと
もともと年間2億円程度の売上しかなかったとされているこのテーマパーク、移設したところで何年かけて回収できるのか、それとももう諦めて撤去したままか、でもそれもももったいないなぁと思う、今日この頃です
おしまい