(公開日2018/05/09 )
※Compathyサイト閉鎖に伴い、同サイトに寄稿した記事を転載したものです
こんにちは、Compathy MagazineライターのMayumiです。
時代の流れとともに失われゆく里や村の風景はある意味、自明の理。
今回ご紹介する中国の小さな漁村もその一つ。
主を失い廃墟となった村は10数年の時を経て神秘的な姿に生まれ変わり、今では観光スポットとして再び脚光を浴びています。そんな「後頭湾村」についてご紹介します。
失われしかつての漁村「后头湾(後頭湾)村」とは
中国上海市から東の沖合に浮かぶ嵊泗(ジョウシ)列島(行政区域でいうと浙江省舟山市嵊山地区に属する)。
そのもっとも東に浮かぶ有人の島「枸杞(クコ)島」には、近年、“中国でもっとも美しい無人村”として注目を集めるかつての漁村「后头湾 Houtouwan(後頭湾)村」が存在します。
繁栄から廃村・無人化までの変遷
嵊泗列島における漁業の起りは清代初期、以来、数ある舟山諸島の中でももっとも重要な漁業の要衝として栄え、その一角として後頭湾村もめざましく発展していきます。1980年代には人口が3,000人にのぼり人々の暮らしは豊かになってその活況ぶりは「小台湾」と言われるほどでした。
しかし急速な漁業の発展は、増え続ける人口をカバーできるだけの用地の限界と輸送における立地の不便さという問題をもたらします。
そして1990年代には当局の指導により住民を近隣の村に移住させ、2002年にとうとう完全無人化し正式な廃村として今に至ります。
なぜ建物が緑に飲み込まれたのか?
嵊泗列島はちょうど鹿児島県屋久島とほぼ同緯度の位置にあり、亜熱帯性気候に属しモンスーンの影響を受けやすい地域です。地形的にも後頭湾村を囲むように背後に山がそびえ、海からの湿った風が山にぶつかり雨が降りやすい環境にあります。
そのため、人の管理が行き届かなくなった廃村は草木や苔の温床となり、建物を呑みこんでいったと考えられています。
忘れ去られた廃村が15年後、再び脚光を浴びたきっかけ
2015年頃、この村を訪れた中国の写真家・青简(Jane)氏がSNS上にこの画像をアップし、その幻想的な美しさから瞬く間にネット上に拡散、脚光を浴びることになりました。
現在、中国国内では“中国でもっとも美しい無人の村”と讃えられ、中国各地から観光客が訪れるようになっています。
この「失われた村」は一面緑に覆われた廃墟がたたずみ、まさにジブリの世界観!ジブリファンならずとも魅了されてしまいますね。
徐々に観光地化が進む現在
単なる廃れた村が突如、島で一二を争う人気の観光スポットとなったことで、早くも駐車場やチケットオフィス、展望台や商店などが整備されていました。
商機と見るや、抜け目なく観光開発を行う坑道の速さはさすが中国です。
しかし、長年放置され続けた村の家屋は老朽化が進み、窓が割れ、屋根や壁も崩壊、草木がはびこり、道も寸断され未舗装など、およそ安全とはいいがたい状態です。
現在は景観の保護のため少しずつ修繕や維持管理が見直されているようですが、2017年10月現在ではまだまだといった感じ。観光の際はくれぐれも慎重に見学する必要があります。
おわりに
中国と言えば壮大なスケールの風景、歴史的建造物といった印象が強く、そういった意味では、後頭湾村はこじんまりとしてどちらかというと地味な印象ですが、ノスタルジーを感じさせる苔むした姿がジブリワールドを彷彿とさせ、ジブリ好きの日本人からすると好感度大です。
東京から上海までは片道3時間程度、上海から後頭湾村のある枸杞島まではバスとフェリーを乗り継いで約6時間、頑張れば週末弾丸旅行も可能です。
枸杞島は夏の海水浴も人気で、漁業が盛かつムール貝養殖の産地でもあるので海鮮グルメも楽しめます。
是非気になったら訪れてみてくださいね。
画像とちょっとした案内文だけ出回り
具体的な行き方や詳細が不明
なのでここもまた
中国語サイトで徹底的に調べ上げ
まぁ、なんとか辿り着きました
(中国語が堪能ならこんな苦労もせず済むのでしょうが)
中国人(特におそらく上海っ子)には
なじみの週末旅行先のようですが
さすがに外国人はまずいないだろう
・・・と思いきや
ヨーロッパ系のカップルが一組だけ
枸杞島手前の嵊泗列島で降りていくのが見えました
意外
枸杞島はさすがに外国人らしき人は誰も見かけなかった
日本からもさほど遠くなく
島ののんびりした雰囲気
ほどほどの数の観光スポット
ムール貝はじめとする海鮮料理が美味な島なので
いつかは人気の観光スポットになるかもしれないですねぇ
終わり
<All Photos other than flickr images by Mayumi>
<関連記事>