■ スポット名:地獄の門(The door to Hell)
■ 訪問国地域:トルクメニスタン、ダルワザ村 Darvaza, Turkmenistan ※文中の情報は2013年10月現在のものです
<地獄の門(The Door to Hell)の所在地>
1971年から燃え続けている炎のクレーターは24時間365日激しく燃え続け、日没になると妖しい閃光が闇夜にゆらめき、その姿はまさに地上に開かれた「地獄の門」
トルクメニスタンの入国は外国人にとって一筋縄じゃないですが、秘境感たっぷりで一見の価値ありです。
50年以上燃え続ける炎のクレーター、通称「地獄の門(The Door to Hell)」
その門が存在するのは、
中央アジアのトルクメニスタン中央部カラクム砂漠、
首都アシガバードから北へおよそ240㎞のところに位置します
このときはカザフスタンのウスチュルト台地キャンプツアーの後、
車はそのまま国境へ直行、わたしだけ降ろされ、陸路を徒歩で国境越え、トルクメニスタン側で旅行代理店が現地でアレンジした別のジープに乗り換えて移動しました
しかし、このトルクメニスタン、
「中央アジアの北朝鮮」といわれるほど徹底した社会主義国家
なので、外国人の観光ビザ取得には一筋縄ではいかない(2013年当時)
自分自身では取得できないので、
現地の旅行代理店を通じて旅程や宿泊先等を確保してはじめてビザが発給されます
(昔のロシアと同じ感じ)
わたしの場合は、カザフの旅行代理店にウスチュルト台地と地獄の門フルオーダーですべてアレンジしてもらい、トルクのビザの写しは、国境を超えるまさに当日の朝、国境の町のとある商店のFAXに届けられて受け取りました…
代理店もビザ取得に手こずったそうです……
サバイバル…(今はもっとスムーズかも)
訪れた2013年当時、特に時代遅れのトルクメニスタンでは
ネットもカーナビも普及していない時代
GPSも地図も使わず、経験と勘だけでたどり着ける現地ドライバーはスキルが高すぎる
最寄りのダルワザ村から砂漠の中を走ることおよそ2時間
突如、砂漠のど真ん中にぽっかり口を開けた穴が出現
右端っこにジープとテント
クレーターの周りに小さく人が写り込んでますね
その規模がお分かりでしょう
この巨大な穴は、1971年、地質学者がボーリング調査をした際、偶然天然ガスに満ちた洞窟を発見
その後、作業装置の置いてあったところが陥没・崩落してできたクレーターだそうです
直径はおよそ90m、一周するだけでも5分以上はかかる巨大な穴です
陥没した穴から有毒ガスが漏れ広がるのを食い止めるため人工的に着火
しかし、天然ガスが枯渇することはなく激しく燃え続け、結局、今の技術ではこれを食い止めることができず放置されている、ということらしい
つまり、地獄の門は自然に生まれた絶景ではなく、厳密には人の手で生まれた人工物なんですね
巨大な穴で燃え続ける炎は、写真からは伝わりにくいですが、近づくとおそろしく高温です
風向き次第では自分に熱風が覆いかぶさり、あわや大火傷
かなりスリリングでリスキーです
世界的な知名度を得て急増する観光客ですが、
“結局燃えるのだから”とペットボトルやごみを穴に捨てて帰る心無い人たちがいました
クレーターの中は、まんべんなくガスが噴出しているわけではなく、火のないところにゴミが溜まっていて非常に残念でした……
その1971年のボーリング調査時の名残なのか、ひしゃげた鉄の塊が椅子みたいになって一つだけ放置されていました
このときはクレーターの横でキャンプをしたので、夜はここから炎をぼんやり眺めてました
(とはいえ、風向きが変わった瞬間、熱風に煽られるのでおちおち座ってられなかったのが現実…汗)
別の角度から
画像左上に、小さくジープとわたし用のテントが建てられてますね
クレーターのそばにひしゃげた鉄のイスが写ってます
規模感、わかります?
テントは、クレーターから50mほど離れたところに設置されました
熱風被害はないですが、夜になると風にのって炎が燃える轟音が聞こえてきます
ウスチュルト台地に続き、今回もガイドのおっちゃんは英語話せずロシア語オンリーで、身振り手振りのボディランゲージと片言ロシア語でコミュニケーションとりました
だんだん日が暮れてきました
砂漠のど真ん中でさえぎるものは何もなく、ここでもトイレの場所を確保するのにひと苦労
こういうとき女性は不利だなぁと感じます
まぁ、といっても、ガイドのおじさんとだいぶ離れたところに観光客1組しかいなかったのですが
穴から100mぐらい離れたところにある小高い砂丘からの眺め
そこではじめて、この日わたしたち以外の観光客を見かけました
フランス人のご夫婦で、彼らはこの砂丘の向こう側でテント張ってました
砂漠の上に浮かぶまんまるお月様
アラビアンナイトみたい
ふと足元みたらヘビがいてびっくりしました(毒はなさそうでしたが)
あたりがだんだん暗くなり、炎の色が濃くなってきました
クレーターの近くに豆粒のごとく人が立っています
穴に飲み込まれそうですね
いよいよ、これから「地獄の門」が開かれます
近くにさっきのフランス人ご夫婦が立ってますね
テントからの眺め
結構な至近距離
火の粉は降ってきませんが、ゴウゴウと業火の燃える音がBGM
はっきり言って落ち着かないですが、ある意味、貴重な体験です
夜の帳が下りてくると、
炎のかたちがより強調され、色も強くなってきました
地獄の門、開門
サウロンの目覚め…って感じ
完全に真っ暗になりました
まるで地球の隙間から光が漏れているようです
この明かりははるか彼方からも視認できるので、地図ナシでもこれを目印にやってくる旅行者も結構いるみたいです
特にバックパッカーなどは、ダルワザ村までバス等で行き、宿に荷物を預かってもらって、夜を待ってこの灯りを頼りに砂漠をつっきってくるのだとか
夜はいいけど、帰りはどうしたんだろう…(今はGoogle MapとGPSあればイケるだろうけど)
個人的には映画「ロード・オブ・ザ・リング」のファンなので
サウロンの城っぽくてワクワクして見てました
いつまでも見ていられそうですが、実際は近づくと火傷しそうになるし、下手に近づいてふらついてクレーターに落ちてもシャレにならないし
せめぎあいです
2010年頃、トルクメニスタンの大統領により、穴の封鎖が命じられたそうですが、技術的に難しいということで現在も保留状態のようです
大統領的には地下に眠る大事な資源を無駄に費やすのはもったいないという懐事情でしょう
今や観光地としての地位を確立していますが、
なんたって社会主義の独裁国家ですから、いつ気が変わるかもしれず、いつかは本当に閉じられてしまうかもしれないですね
ちなみに、かつてはカザフスタンからのアプローチが一般的だったと思いますが
ここ近年(2021年現在)はウズベキスタン西部の都市ヌクスからもアプローチできるようです
※ウズベキスタンの宿でチラシを見かけたので
すっかり世界的な知名度を確立した「地獄の門」
日本からのツアーも増えてだいぶアクセスしやすくなりました
かつては欧米人の観光客が多かったそうですが、近年はアジア勢も多いよう
地獄の門以外にも国としてもユニークなので、ぜひ興味があれば一度訪れてみて下さい(軍に監視されますが)
ちなみに、トルクメニスタンは、個人的にはウクライナに匹敵する美女の国です
おまけ
ドライバー兼ガイドのおっちゃんは英語こそ話せないですが、とても陽気で気さくで、たくさんお話をしてくれました
そんなおっちゃんのお手製ディナー
まずは前菜のシンプルな生野菜サラダ
そして、ウォッカで乾杯!
キャンプといえばバーベキュー
簡単お手軽で間違いのないチキンバーベキューが本日のメイン
焼き鳥は万国共通旨いよね
地獄の門の横でいただくディナーは、どんな高級レストランよりも何だか贅沢なひとときでした
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というわけで、
トルクメニスタンの「地獄の門」の絶景紀行は以上
最後までご覧いただきありがとうございました