■ スポット名:ダロール火山(Dallol Volcano)
■ 訪問国地域:エチオピア、ダナキル砂漠 Danakil Desert, Ethiopia ※文中の情報は2016年8月現在のものです
<ダロル火山(ダナキル砂漠)の所在地>
アフリカ大地溝帯の上に存在し、地表近くを流れるマントルの影響で夏は気温50℃超え、活火山や硫黄温泉、塩湖など、この世のものと思えない不気味かつ極彩色の妖艶な光景が存在します。
今回は、ダナキル砂漠の中でもダロル火山をご紹介します
エチオピア北部、エリトリアとの国境近くにある「ダナキル砂漠」
”世界一過酷なツアー”と恐れられ、真夏は気温50℃を超え
雨も降らず、日差しを遮るものもなく、大地は灼熱地獄で覆われ、生き物が住めない死の大地
まさに命がけで挑む過酷なツアーです
なので、一般的にはなるべく真夏を避けて観光客は訪れるのですが、
何を血迷ったか真夏にツアーを申し込んでしまい、後で後悔することに…
とりあえず、首都アディスアベバから国内線に乗り換えて、ツアーの拠点となるMekele(メケレ)市へ移動しました
指定されたメケレ市内にある旅行代理店にいったん集合し、ツアー代金を支払います(現金払い)
ツアー参加者は米国、ドイツ、イタリア、スペイン、イスラエル、韓国などなど実にインターナショナル
総勢20人にのぼる観光客らは5台のジープに振り分けられ、これから4泊5日行動を共にします
しかし驚いたことに、同じツアーメンバーに日本人男性が1人、女性2人組と3名の日本人が居合わせることに
さらにツアー途中で出会った別のツアーには日本人グループが最低でも5~6人はいて
こんな辺境地での日本人遭遇率の高さに驚愕しました
メケレからおよそ3時間かけて、初日のベースキャンプがある「Hameldela」村に到着
これらは豚小屋とか家畜小屋とかじゃないですよ
れっきとした、人が住む家屋であり、一応宿なんです(苦笑)
画像はある日の朝食
ツアーで提供される手作りの食事は案外まともで
選んだツアー会社はすごく親切で、顧客の感想や意見を取り入れながら食事の味や内容を常に改善しているそうです
だから、日本人の利用が多いんですね(←誰かのブログを参考にして選んだ)
味付けも美味しく、ボリューミィで、果物やパンとかも新鮮でみずみずしく美味しい
もちろん、エチオピアといえばあの”雑巾みたい”と悪評たたかれる「インジェラ」も出ます(でも言うほどまずくない)
2日目の夜が明けました
すばらしい天気です
初日、われわれの宿はこの竹ひごで編んだベッド
要するに野宿
エアコンや扇風機がないベースキャンプでは、中より外の方が風が通って涼しいそうです
しかも夜は満天の星空で流れ星を見ながら眠りにつけるという、ある意味贅沢な空間
ところが、私が与えられたベッドは位置が悪く風通しが最悪で、暑くて暑くて脱水症状起こしかねないほど汗をかき、しかも蚊もブンブン飛んでくるしで、正直、全く眠れませんでした…
同じツアーの日本人男性は快適に眠れたと言っていたので、場所次第だったようです
ツアーで雇ったソルジャー、いわゆる傭兵さんたち
傭兵はメケレではなく、この村で調達します
ここは敵対するエリトリアとの国境紛争地帯に近く、
2012年、ツアーで訪れていたドイツ人観光客ら5人が殺害、
4人が拉致されるという痛ましい事件が起こったため、以来、ツアーに傭兵をつけることが義務化されたそうです
(ツアー廃止にならないところがエチオピアらしい)
傭兵さんの中には女性もいました
一見強面ですが、みんな意外に親切・フレンドリーで、写真を喜んで一緒に撮ってくれたり、具合が悪い子の荷物を代わりに持ってくれたりしました
朝早い朝食を済ませて、本日のメインイベントであるダロール火山へ出発
日中は最悪50℃近くになるため、比較的涼しい午前のうちに移動しなければなりません
どこまでも広がる乾燥した大地
車の轍は多少残っているとはいえ、GPSも使わず、ドライバーの経験と勘だけで道なき道を迷わず進みます
1時間ほど走ったところで、ダロール火山の麓に到着
ここからは15分程のトレッキングです
目印も無さそうな赤茶けた溶岩地帯をガイドはスタスタ登っていきます
ちなみに、移動の際には常に1.5Lのミネラルウォーターは必携
普段あまり水分摂らない方のわたしですら、生存本能に訴えかけられて常に飲んでいました
日本では味わうことのない壮絶な暑さです
大地の裂け目からマグマが湧き出ているかと思うほど、鮮やかな溶岩の塊
ワクワクしますね
塩分濃度が濃いせいか、このエリアにはこうしたヒラタケみたいな形をした巨大岩塩フラワーが咲いていました
大きいもので直径1m以上もあります
結構頑丈で、乗っても平気、
ちょっとしたテーブルや椅子になりそう
これもまた異世界感漂う光景ですよね
いよいよ待ちに待った、あの極彩色のダロル火山です!
テレビやネットで観た、あの毒々しい黄色とオレンジと黄緑色の世界!
噂にたがわぬ、不気味さと妖しさが全開です
ダロール火山は、マグマの噴出でできた50mほどの低い溶岩台地
1926年に水蒸気爆発が起こり、この地に直径約30mのクレーターが形成されたそうです
ダロル火山のこの色は、よく“極彩色”と表現されますが、
これは熱水に含まれる塩分や硫黄、カリウム等の成分が地上で冷やされる過程で生まれる色合いだそうです
自然の営みは、人間の想像をはるかに超えて、実に奇妙で不可思議なものを作り出しますね
ダロール火山のこの風景は、一部のドラゴンボールファンの間では「ナメック星」と言われています
ナメック星かはともかく、地球外生命体とか未知のバクテリアは棲んでいそうですね
ダロル火山が織りなすこの光景は、思っていたよりも範囲は狭く、10分も歩けば見渡せる程度
というか、とにかく暑くて硫黄臭がキツイ
有毒ガスが蔓延しているため、一部ではガスマスクが必要と言われていたのですが、実際はそこまでではありませんでした
普通のマスクやスカーフで抑える程度でも大丈夫
個人的には、インドネシアのカワイジェン火山で経験した有毒ガスの方がよっぽど死ぬかと思いました
自由時間をゆったり設けられているので、各々、好きなところを周ります
遠目から見るとこんな感じ
黄緑色の部分をよく見ると、地下から塩水がプシュップシュッと噴出しています
この塩分濃度高めの塩水がこの色を形成しているんですね
溶岩台地の上には塩で覆われた真っ白な塩の台地もありました
さらに、ピンクや緑に茶色のカラフルな溶岩大地
一見柔らかそうだけど、やはり固いです
地球上とは思えない、なんというか、不思議な光景
ゴツゴツした巨大な奇岩もあちこち点在しています
風の谷のナウシカの「オーム(王蟲)」みたいなやつとかいましたよ
ダロル火山の次に訪れたのは、数キロ離れた硫黄温泉地帯
真っ赤な溶岩地帯にフツフツと湧く高濃度の硫黄温泉
もちろん、入れません。火傷します
最も大きいプールで直径40m近くもあります
というか、ただでさえ暑いのに湯気でますます暑い
体感は50℃近くあります
(ジープの温度計は46℃でした)
湯の硫黄や鉄分の化学反応でこんな真っ赤になるようですが…
巨大な赤いヒトデみたいですね
とはいえ、やっぱり肌にはとてもいいそうです
滑らかスベスベになるとか……
温泉だし、そりゃ、美容にいいとは思いますが…
大分の別府温泉の「血の池地獄」みたいですね
きっと成分はおんなじなんですね
温泉プールに鳥の死骸が落ちていました
誤って落ちてしまったのか、それとも温泉水を飲んで死んでしまったのか…
腐りもせずただ干からびています
ミイラ化してるのかな
次に訪れたのは、塩の採掘場
ここの塩はまちで高く売れるんだそうで、
地元の方にとっては大きな収入源
そのため、この灼熱の地へキャラバン隊を組んで、命がけで塩を運ぶのだとか
しかし、エチオピアのラクダは、他国のラクダに比べてやせ細り過ぎてて無駄な贅肉一切なくて気の毒・・・
彼らは一生懸命、商品となる塩のブロックを削っています
それを眺める傭兵さんたち
塩を撮る人たちも、写真撮影には割と好意的に応えてくれます
次に訪れたのは、なんと塩湖!
海抜マイナス155m地点にある「アサレ塩湖」です
海抜、“マイナス”ですよ!さすが大地溝帯
このときはあいにく塩水が濁っていてウユニ塩湖のような美しい鏡面は見られませんでしたが、
それでもアフリカのこの灼熱の地で塩湖がみられたことに感動しました
しかし、この時が一番気温が高く、熱風が吹き、体感温度は50℃以上
車のサーモメーターは47度を指していて、もう本当に長時間外で息するのも苦しいという感じ
まさに“世界でもっとも過酷な場所”を体験しました
1日目のツアーを終え、2日目の宿のゲストハウスに到着
初日と違って今度はちゃんと壁があり屋根があった!
雨水を溜めたバケツ一杯の水で体も洗えて感動!
途中で停電してしまったけど、ちょっとだけ充電もできました
不便な環境に身を置くと、ちょっとしたことがありがたく幸せですよね
しかし蚊は相変わらず多くて、今度はみんなで床に雑魚寝だけど、初日よりは比較的ぐっすり眠れて良かったです
このゲストハウスは、外から子どもたちが勝手に入ってこないように、鉄の門扉が設置され、常に鍵が施錠されていました
村の子どもたちは外国人からおこぼれを期待して常にまとわりついてきます
チョコ、チョコ、いうので、今はチョコレートがブームの様子 ※2016年当時
代わりにキャンディーをあげたら、奪い合いのケンカが始まりました
とはいえ、エチオピアは昨今、中国資本が入って以来、経済が急成長しているそうです
人々の生活も一昔前よりは底上げされたのか、ユニセフのCMに登場するような飢饉に苦しんでいる印象はありませんでした(たまたまか…)
それでも貧しいには違いなく、アフリカの現実を垣間見た気がして複雑でしたね……
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ダナキル砂漠ツアーは、日本発のツアーに参加すると50万はくだらないほど高額ツアーです
なので、もし安く参加したい方は、現地申し込みすることを強くお勧めします
4泊5日のツアーの相場はUS$400~600 前後
すべてにおいて非日常体験ができて、刺激的でお勧めですよ!
終わり
最後までご覧いただきありがとうございました